2021/12/24更新

2021年度 第3回福島リサーチカンファレンス(FRC)

OECD/NEA TCOFFプロジェクト最終ワークショップ

 国際ワークショップ「OECD/NEA TCOFFプロジェクト最終ワークショップ」は、令和3年12月14日~16日にかけて、福島リサーチカンファレンス(FRC: Fukushima Research Conference)として、日本原子力研究開発機構の主催で、リモート方式で開催されました。東京電力福島第一原発(1F)の事故解析やデブリ特性評価に係る専門家を中心に17か国から121名のご参加をいただき、活発な意見交換が行われました。TCOFF(Thermodynamic Characterization of Fuel Debris and Fission Products based on Scenario Analysis of Severe accident Progression at Fukushima Daiichi Nuclear Power Station)プロジェクトは、経済協力開発機構(OECD: Organization for Economic Co-operation and Development)の原子力機関(NEA: Nuclear Energy Agency)の原子力科学委員会(NSC: Nuclear Science Committee)の下で、平成29年6月~令和2年7月にかけて、文部科学省の提唱した廃炉研究加速化プランに基づいて実施されました。そこでは、これまで廃炉研究にあまり係っていなかった基礎研究専門家の廃炉研究への参画と、廃炉やシビアアクシデント研究の専門家とのシナジーによる廃炉研究の加速化を推進し、日本を含む10か国+ECから原子力研究機関及び大学等のアカデミック研究機関が参画し、東京電力福島第一原発事故(1F事故)のシナリオ解析に基づいて、燃料デブリや核分裂生成物(FP: Fission Products)の特性評価に取組みました。
 本ワークショップでは、冒頭で、東京電力のCibula博士による1F事故シナリオに関する最新の理解について、及び原子力機構の廃炉環境国際共同研究センターの岡本センター長による今後の廃炉研究への取組みについて、の2件の講演が一般公開されました。また、OECD/NEAのNSC部長Ivanova博士からTCOFFプロジェクトへの謝辞があり、その取組みと成果はOECD/NEAで高く評価され、フェーズ2が期待されていると述べられました。続いて、TCOFFプロジェクトで得られた燃料デブリやFPの特性に関する成果について、プロジェクトに参加した各国の専門家から概要紹介があり、ワークショップ参加者との意見交換を行いました。意見交換では、1Fの2, 3号機の圧力容器の破損とそこから下方へのデブリの移行のメカニズムが、従来理解されていた典型的な事故進展メカニズムと異なっており、事故時の伝熱特性と材料科学的な特性を総合的に評価して理解を進めることが重要であること、また、FPについて、特にセシウムの事故進展途中の原子炉建屋内での移行経路と化学状態の理解が重要であること、などが認識共有されました。また、1F事故を背景として、世界各国で、事故耐性燃料(ATF: Accident Tolerant Fuel)の開発が進捗していますが、このような新しい材料の開発を進めるには、TCOFFプロジェクトで行われたような専門家シナジーによる、燃料特性の背景となる様々な化学反応メカニズムの理解を深める必要があることでも認識が一致しました。最終日には、多くの会議参加者から、有意義な意見交換であったとして、本ワークショップへの感謝が示されました。今後、本ワークショップで行われた意見交換等に基づいて、OECD/NEAのコーディネートにより、OECD/NEA加盟国からの資金提供によりTCOFFプロジェクトフェーズ2が進められる見込みです。


開催概要

 本国際ワークショップは、経済協力開発機構(OECD: Organization for Economic Co-operation and Development)の原子力機関(NEA: Nuclear Energy Agency)の原子力科学委員会(NSC: Nuclear Science Committee)の下で、平成29年6月~令和2年7月にかけて実施されたTCOFFプロジェクト(TCOFF: Thermodynamic Characterization of Fuel Debris and Fission Products based on Scenario Analysis of Severe accident Progression at Fukushima Daiichi Nuclear Power Station)の成果のとりまとめを行うために実施します。文部科学省は、平成26年6月に提唱した廃炉研究加速化プランに基づき、OECD/NEAに対して、当時廃炉研究にあまり係っていなかった基礎研究の専門家の廃炉研究への参画と、廃炉やシビアアクシデント研究の専門家とのシナジーにより、廃炉研究がいっそう加速化されることを提唱し、OECD/NEAはこの提案を受けてTCOFFプロジェクトを立ち上げました。日本を含む10か国+ECから原子力研究機関及び大学等のアカデミック研究機関が参画し、東京電力福島第一原発事故(1F事故)のシナリオ解析に基づいて、燃料デブリや核分裂生成物(FP: Fission Products)の特性評価に取組みました。
 TCOFFプロジェクトでは、参加機関の合意に基づいて、シビアアクシデント解析コードで用いられている事故時の材料反応モデルと熱力学データベースの現状調査及び開発課題の検討、炉心・燃料損傷モデル検証のための模擬試験の現状調査及び開発課題の検討、1F事故の燃料・炉心損傷における材料科学的反応メカニズムの検討、FP化学データベースの現状調査及び開発課題の検討、燃料デブリからFP浸出に関する知見の拡充、を実施しました。また、プロジェクト費用の約50%を用いて、国際的な研究公募を行い、燃料デブリやFPの基礎データ拡充を行いました。本ワークショップでは、TCOFF参加機関の専門家からそれぞれの成果を紹介いただき、成果のいっそうの活用に向けて意見交換を行います。また、幅広い専門家のシナジーに基づくTCOFFの活動は、廃炉研究の加速化だけでなく、次世代燃料の安全研究などにも展開できると期待され、現在OECD/NEAにおいてTCOFFフェーズ2の検討が進められています。本ワークショップでは、TCOFFフェーズ2の実施に向けた意見交換も行います。
 本ワークショップでは、専門家による詳細な意見交換を行いますが、事前登録制でご所属・身分をお知らせいただくことで原則どなたでも聴講可能です。また、本ワークショップの初日には、1F事故進展解析と事故炉の炉内状況把握について東京電力廃炉カンパニーの溝上伸也フェローから、及び、これを踏まえて次のフェーズではどのような研究開発が必要となるかについて廃炉環境国際共同研究センターの岡本孝司センター長から、2件の講演を行います。これを以下の要綱でFRCとして一般に公開して実施します。

主催 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 福島研究開発部門 廃炉環境国際共同研究センター
日時 2021年12月14日(火)及び15日(水) 21:00~24:00
このうち、14日(火)2100~22:00に実施される2件の講演をFRCとして一般公開します。

#備考:14, 15日は、その他の講演についても専門的な内容になりますが聴講は可能です。また16日は、プロジェクトメンバーと招待講演者のみによる会合を行います。
開催方法 オンライン(Zoomを予定)
使用言語 英語
申込・詳細 申し込み方法、詳細につきましては、こちらのURLをご覧ください。
https://www.tcoff.org
※申込〆切:2021年12月10日(金) 17:00
参加費 無料
お問合せ先 Workshop Secretary Email: