課題番号:汚染水-102
段階:Preparation
廃炉プロセス汚染水対策
検討対象現状把握
課題地下・建屋の現状把握

ニーズ

※「望ましい状態とその理由」内のキーワードから福島原子力事故関連情報アーカイブへリンクしています(別ウィンドウで開きます)。キーワードでの検索となるため表示に時間がかかることがあります。
① 地下水挙動・全体像を把握したい
時間軸:汚染水対策短期

望ましい状態とその理由

現在、山側から海側に流れている地下水が、原子炉建屋等に流れ込み、建屋内等に溜まっている放射性物質を含む水と混ざることなどで汚染水が増加している。汚染源を「取り除く」、汚染源に水を「近づけない」、汚染水を「漏らさない」の3つの基本方針にそって、地下水を安定的に制御するための、重層的な汚染水対策が進められている。
地下水挙動やその全体像を把握することができれば、3つの基本方針に基づく重層的な汚染水対策をより実効的に進めることが可能となるため、地下水挙動やその全体像を把握することが望まれる。

理想に対する現状

降雨等(IN側)と汚染水の増加量(OUT側)の関係は把握できているものの、その途中(地下水量、建屋内への流入量、建屋に流入しなかった量、地下水バイパスの量、サブドレンの量、地下水の経路、等)の詳細は分かっていない。

解決すべき課題

地下水・汚染水への合理的・体系的対処のためには、地下水の挙動を全体的に把握する必要がある。
また、建屋周辺の土壌に含まれる核種の移行を評価するためにも、建屋周辺の地下水挙動を把握する必要がある。
さらに、汚染水対策の効果を中長期にわたって維持するため、陸側遮水壁やサブドレン設備など、各設備の定期的な点検、更新を確実に行うことが必要である。

参考文献

(参考)関連する研究課題

実施されている研究課題

R1年度英知化学計測技術とインフォマティックスを融合したデブリ性状把握手法の開発とタイアップ型人材育成 [資料]
R1年度英知微生物生態系による原子炉内物体の腐食・変質に関する評価研究 [資料]

検討されている研究課題

特になし
② 建屋流入箇所を把握したい。
時間軸:汚染水対策中期

望ましい状態とその理由

現在、山側から海側に流れている地下水が、原子炉建屋等に流れ込み、建屋内等に溜まっている放射性物質を含む水と混ざることなどで汚染水が増加しているため、建屋への流入箇所を把握できることが望ましい。

理想に対する現状

トーラス室から建屋内に流入していることは確認できているが、原子炉建屋周辺は高線量であるため調査は容易ではない。特に、具体的な流入場所とその量は把握できておらず、実際にトーラス室にロボットを入れて調査しても流入箇所の特定には至っていない。
1~4 号機周辺のフェーシングによる雨水流入対策に加え、局所的な止水対策として、3 号機を対象に建屋貫通部(配管等)と建屋間ギャップ端部への止水対策(充填や地盤改良等)が検討されている。

解決すべき課題

地下水が建屋に流入することを防ぐためには、具体的に、どこにどの程度の規模の流入箇所が存在し、流入箇所の形状やその周辺がどの様になっているのかを明らかにする必要がある。(完全止水の方法を検討するための前提条件を把握する必要がある)。
燃料デブリ取り出し完了までには長期の期間が必要となる。現在進められている燃料デブリ取り出し規模の更なる拡大の工法選定と併せ、中長期を見据え、現在の汚染水対策を改めて俯瞰し、より安定的な汚染水対策の在り方や各設備のより適切な維持・管理についても検討を進めることが必要である。

参考文献

(参考)関連する研究課題

実施されている研究課題

R1年度英知化学計測技術とインフォマティックスを融合したデブリ性状把握手法の開発とタイアップ型人材育成 [資料]

検討されている研究課題

特になし
③ 海水モニタリングを行いたい。
時間軸:汚染水対策短期

望ましい状態とその理由

汚染水の漏洩の有無は、最終的には海洋への漏洩を検知することで担保されるため、海水モニタリングは重要である。
また、ALPS処理水の海洋放出に向けた検討が進められており、ALPS処理水の海洋放出の影響を分析する上でも、放出前/放出中/放出後の海水核種濃度を把握することは重要である。

理想に対する現状

2021 年12 月には「ALPS 処理水希釈放出設備及び関連施設設置に関する特定原子力施設に係る実施計画変更認可申請」を原子力規制委員会に提出し、海洋放出設備とその運用方法、海洋放出時の安全性等に関する審査を受け、2022 年7 月に認可を得ている。
2022 年3 月30 日に開催された政府のモニタリング調整会議において、国(環境省、原子力規制委員会等)、東京電力、福島県が実施する海域環境のモニタリングの強化・拡充計画が示され、2022 年4 月よりモニタリングが開始された。東京電力は、国や地方公共団体等との連携の下、主体的にモニタリングを実施している。

解決すべき課題

港湾内・港湾外の海水モニタリングを迅速・簡便・体系的に実施する必要がある。
特に、放出前のトリチウム濃度測定には一定の期間を要しているため、測定期間を短縮できる技術が望まれる。

参考文献

(参考)関連する研究課題

実施されている研究課題

特になし

検討されている研究課題

関連する課題

資料

関連サイト