課題番号:デブリ-209
段階:Design
廃炉プロセス燃料デブリ取り出し
検討対象止める/冷やす/水素(安定状態の維持)
課題冷却機能の維持

ニーズ

※「望ましい状態とその理由」内のキーワードから福島原子力事故関連情報アーカイブへリンクしています(別ウィンドウで開きます)。キーワードでの検索となるため表示に時間がかかることがあります。
① 注水配管等の冷却系統に係る健全性を維持したい。

望ましい状態とその理由

燃料デブリの冷却を維持し、また、燃料デブリ取り出し装置等が長期間にわたり健全に機能を維持するために、腐食や経年変化等の影響も含めて冷却系統の健全性を評価しておくことが望ましい。

理想に対する現状

冷却系配管の構造材は主に耐食性の低い炭素鋼が使用されている。現状ではPCV内には窒素封入が行われ、気相中の酸素濃度が低下したことで水中の酸素濃度・過酸化水素濃度も低下しているとみられることから、腐食はある程度抑制されていると考えられている。
しかし今後、燃料デブリ取り出しにあたっては、負圧管理により酸素を含む大気がPCV内に流入することが想定される。

解決すべき課題

事故履歴を踏まえた大気存在下における炭素鋼の腐食に関する知見を取得することが重要となる。

(参考)関連する研究課題

実施されている研究課題

H29年度英知配管減肉のモニタリングと予測に基づく配管システムのリスク管理

検討されている研究課題

特になし
② 燃料デブリの冷却評価をしたい。

望ましい状態とその理由

燃料デブリの合理的な冷却方法を検討するために、燃料デブリの崩壊熱や自然放熱等を考慮し、空冷や注水といった冷却方法毎の安全評価を行うことが望まれる。

理想に対する現状

現状までに、1~3号機において原子炉注水を一時的に停止する燃料デブリの冷却状況の確認試験が実施されている。
試験中のRPV温度やPCV温度に大きな上昇はなく、ダスト濃度や希ガス濃度にも影響はなかったことから、一時的な原子炉注水の停止によって、燃料デブリの冷却状態に問題はない。
熱バランス評価(詳細は参考文献を参照のこと)により、注水停止などの過渡的な冷却状況を含めて、RPV底部温度やPCV温度を概ね評価可能である。
注水停止中の温度上昇率は、最大の2号機で約0.2℃/hであり、この温度上昇率に基づくと、注水停止時の時間余裕はおよそ10日以上と見込まれ、従前評価の約10時間と比べ、大幅に余裕が大きい。

解決すべき課題

原子炉注水が停止した場合の時間余裕が、従来の保守的な評価値よりも大幅に余裕が大きいことをふまえ、実態に即した評価を手順に反映すること。これにより、トラブルが同時発生した際に緊急性がより高い対応に傾注する等の安全上の優先順位を適正に判断する手順となる。
原子炉注水の一時的な停止により燃料デブリの冷却状態に問題がなかったことを踏まえて、原子炉注水系の運用方法見直しを検討すること。
熱バランス評価によってRPV底部温度やPCV温度を概ね評価可能であることをふまえ、炉内温度監視方法の見直しを検討すること。

(参考)関連する研究課題

実施されている研究課題

廃炉・汚染水対策事業燃料デブリの性状把握のための分析・推定技術の開発(燃料デブリの分析精度の向上及び熱挙動の推定のための技術開発)
廃炉・汚染水対策事業燃料デブリの性状把握のための分析・推定技術の開発(燃料デブリの分析精度の向上、熱挙動の推定及び簡易分析のための技術開発)

検討されている研究課題

特になし

関連する課題

資料

関連サイト