課題番号:処-301
段階:Action
廃炉プロセス処理・処分・環境回復(燃料に由来するα核種が含まれる廃棄物含む)
検討対象クリアランス
課題クリアランスによる廃棄物量の低減

ニーズ

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① 解体から生じる廃棄物(コンクリートや金属)の合理的処理・処分方法を知りたい。

望ましい状態とその理由

クリアランスにより解体廃棄物の物量をどこまで低減できるか等を合理的に検討するために、放射性物質が付着したコンクリートや金属等の解体廃棄物の測定や分別といったシナリオを検討する必要がある。
クリアランスにより解体廃棄物の物量をどこまで低減できるか等を合理的に検討するために、放射性物質が付着したコンクリートや金属等の解体廃棄物の除染技術を整備する必要がある。

理想に対する現状

コンクリートガラは破砕し、表面線量率がバックグランド相当と確認した上での路盤材へのリサイクルが実施されている。
金属をリサイクルするための除染方法として溶融除染等の検討が行われている。廃炉・汚染水・処理水対策事業において、溶融・除染時の核種分配挙動の解明と溶融処理後の検認手法に係る検討が着手されている。

解決すべき課題

解体によって発生する廃棄物は大量になるため、除染技術を整備しクリアランスによる物量低減が必要である。
溶融スラグ除染法による金属リサイクルは、既に欧米諸国で多くの実績があるため有望な候補技術と考えられる。核種等の欧米諸国と福島第一原子力発電所で条件が異なる部分に着目し、適用性評価に取り組むことが必要である。
コンクリートガラは廃炉作業の進捗に応じ継続的に発生することから、今後の発生量とリサイクル量のバランスを適切に評価し、追加の対策が必要となる場合は、リードタイムを考慮した対応を検討しておく必要がある。

参考文献

(参考)関連する研究課題

実施されている研究課題

廃炉・汚染水対策事業固体廃棄物の処理処分 [資料]
H28年度英知汚染コンクリートの解体およびそこから生じる廃棄物の合理的処理・処分の検討 [資料]

検討されている研究課題

特になし
② 福島第一原子力発電所特有の環境下における分析手法の開発および合理化、分析の迅速化を行いたい。

望ましい状態とその理由

良好な分析結果を取得するためには、①分析の手法・体制、②分析結果の品質及び③サンプルのサイズ・量を適正に保つことが有効である。
バックグラウンドが高いといった福島第一原子力発電所特有の環境がある。高バックグラウンド下における分析手法の開発が望まれる。
今後解体等により、コンクリート・金属廃棄物が大量に発生することになる。大量の廃棄物のクリアランスを迅速に行うことは廃止措置をスムーズに進めることにつながるため、分析手法の簡素化が望まれる。
分析結果を廃止措置の各工程で反映する東京電力が中心となり、分析結果を効率的に収集・評価できる分析体制、分析施設や機能を構築・整備することが望まれる。
ALPS処理水、環境試料等のより低濃度領域の分析需要が拡大すると、検出精度の向上を行う必要が生じ、燃料デブリや高線量廃棄物等の高線量領域の分析需要が拡大すると、遮へい及び閉じ込めのような放射線防護機能の拡充や元素分布や構造解析のような分析の多様化を行うことが求められる。
分析設備を有効に活用するため、分析対象物に対して取得を望む情報とその数量、検出精度、分析頻度等に関してバランスを取り、定期メンテナンス等を考慮した分析計画を立案することが求められる。
固体廃棄物は、核種組成や放射能濃度が多様かつ物量が多い特徴を有することから、通常の発電炉における廃棄物確認方法の整備と異なり、スケーリングファクター法、その他の評価方法設定のためのデータ取得、蓄積、整理、統計的手法の適用といった福島第一原子力発電所の廃棄物に特有な廃棄物確認方法の整備に係る開発業務が求められる。

理想に対する現状

東京電力は、分析の進捗状況や保管管理上のリスク等を踏まえて分析優先度の高い廃棄物を抽出し、各廃棄物の特徴を踏まえた性状把握方針及び分析計画を検討している。また、廃棄物ごとの分析計画を統合・調整し、必要な分析能力の年度展開を策定し、それを基に分析要員計画に反映させている。
これまで、JAEAは、日本核燃料開発株式会社及びMHI原子力研究開発株式会社とともに、PCV内部調査に伴う堆積物、付着物、固体廃棄物サンプル等の分析を実施してきている。これにより燃料デブリや廃棄物の性状の一部が明らかになっている。JAEAでは、これまでの経験と実績に基づいて、廃炉作業を安全かつ着実に進めるニーズの観点で課題解決に必要な燃料デブリの分析対象項目や分析フローを検討している。

研究・施設

データを簡易・迅速に取得するための分析手法を開発、試料前処理の合理化・自動化等により迅速化した分析方法の標準化及び様々な試料形態や難測定核種に対応するための分析手法開発が取り組まれている。
DQOプロセスとベイズ統計を用いたデータ取得計画法や統計論的インベントリ推定手法といった、少ない分析データで性状把握を行うための手法の構築への取組が廃炉・汚染水・処理水対策事業等において行われている。
燃料デブリ取り出し時の廃棄物については、溶融燃料や構造材料が混在しているため、損傷した支柱や配管等への付着物中にUが含まれるか否かを迅速に確認することができれば、作業性の向上が期待できる。そのため、簡易(その場)分析の技術開発としてレーザー誘起ブレークダウン分光分析法による技術開発が実施されている。
従来のサンプル分析に加え、他の計測手法による燃料デブリ性状の不確かさの低減についての検討が廃炉・汚染水・処理水対策事業において2020年度から開始されている。
JAEAの放射性物質分析・研究施設の施設管理等が2018年に運用開始、第1棟(固体廃棄物の分析及び ALPS 処理水の第三者分析の実施が目的)が2022年10月に分析作業を開始、2023年3月にはALPS処理水の第三者分析を開始した。第2棟(燃料デブリの分析の実施が目的)は実施計画変更認可申請審査及び事業者選定プロセス中で2026年度の竣工が目指されている。東京電力も現行のルーチン分析のほか、燃料デブリや固体廃棄物の分析といった将来の分析ニーズを踏まえた分析施設(総合分析施設)の建設を検討しており、2020年代後半の竣工を目指している。

人材育成

東京電力-JAEA間での人材交流及び東京電力への日本核燃料開発株式会社からの人材の受け入れが継続的に実施されている。
東京電力では、現体制に加え、廃棄物の分析に対して2030年代に向けて30名程度の追加人員が必要になると試算しており、廃炉・汚染水・処理水対策事業の分析関連プロジェクトに参画させて実践経験を積ませながら育成することを2023年度より開始している。
分析作業者の育成・確保に向けた取組については、分析作業者となる人材の裾野を広げるために、福島国際研究教育機構「F-REI」と資源エネルギー庁が連携して、「放射能分析の人材育成研修プログラム」の開始を目指して準備が進められている。

解決すべき課題

分析計画は今後の廃炉の進捗に伴うニーズの変化等を反映し継続的に更新していく。また、計画の取組を実行するとともに、その進捗を踏まえ、必要な対策について不断の見直しを行う必要がある。

研究・施設

今後、分析手法の開発については、JAEAの放射性物質分析・研究施設第1棟において検証を行い、分析手法を確立し、東京電力のニーズを踏まえた分析計画に基づき、性状把握を行う計画となっている。
高バックグラウンド下においても十分な分析が行える技術の開発が必要である。
今後解体等により、コンクリート・金属廃棄物が大量に発生することになる。クリアランスの基準に基づいて分析を行うには時間を要するため、簡素化が求められる。
燃料デブリに対しては、金属組織観察、ミクロ組織観察、元素マッピング等、廃棄物の分析よりも分析項目が多くなるため、第2棟の運用開始以降において第2棟の分析キャパシティを超過することが懸念される。

人材育成

東京電力にとっては経験の少ない分野での人材育成を可能な限り短時間で行わねばならず、α核種の取扱いや燃料の分析技術に関して十分な知識と経験をもつJAEA及び民間企業の協力を得ながら、東京電力が分析技術者の育成に効率的に取り組むことが重要である。
東京電力及びJAEAが時間経過に伴う分析ニーズの変化と課題を相互に抽出、連携しながら人材育成を進め、資源エネルギー庁、NDF等の関係機関も分析人材確保に係る支援を行うことが必要である。
今後、想定される分析需要の拡大に伴い、あらかじめ分析結果の活用方法を見越した分析計画の立案が可能な高度な人材が必要となる。

参考文献

(参考)関連する研究課題

実施されている研究課題

特になし

検討されている研究課題

特になし
③ 構内で再利用し、廃棄物量を低減したい。

望ましい状態とその理由

構内での再利用に関する具体的な技術開発が望まれる。例えば、遮蔽ブロックとしての再利用や充填材としての再利用が考えられる。

理想に対する現状

コンクリートガラは破砕し、表面線量率がバックグランド相当と確認した上での路盤材へのリサイクルが実施されている。
金属をリサイクルするための除染方法として溶融除染等の検討が行われている。廃炉・汚染水・処理水対策事業において、溶融・除染時の核種分配挙動の解明と溶融処理後の検認手法に係る検討が着手されている。

解決すべき課題

汚染が少ない廃棄物を有効活用するための用途検討や技術開発が必要である。
溶融スラグ除染法による金属リサイクルは、既に欧米諸国で多くの実績があるため有望な候補技術と考えられる。核種等の欧米諸国と福島第一原子力発電所で条件が異なる部分に着目し、適用性評価に取り組むことが必要である。
コンクリートガラは廃炉作業の進捗に応じ継続的に発生することから、今後の発生量とリサイクル量のバランスを適切に評価し、追加の対策が必要となる場合は、リードタイムを考慮した対応を検討しておく必要がある。

参考文献

(参考)関連する研究課題

実施されている研究課題

特になし

検討されている研究課題

特になし
④ 構外での再利用に関する社会的受容性を高めたい。

望ましい状態とその理由

今後クリアランスとなった廃棄物を実際に構外で再利用する際、公衆との合意形成がスムーズに行えるよう社会的受容性を高めておくことが望まれる。

理想に対する現状

現段階では、検討は十分に進んでいない。

解決すべき課題

再利用する廃棄物に関する再利用環境や科学的な安全性について、正確かつ分かりやすい説明方法や説明体制の確立が必要である。

(参考)関連する研究課題

実施されている研究課題

特になし

検討されている研究課題

特になし

関連する課題

資料

関連サイト