課題番号:デブリ-102
段階:Preparation
廃炉プロセス燃料デブリ取り出し
検討対象炉内状況把握
課題PCV・RPV内部の構造物の状況把握

ニーズ

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① PCV・RPV内部の損傷状況を確認したい

望ましい状態とその理由

構造健全性や、内部調査及び燃料デブリ取り出しのためのアクセスルート構築の観点に基づいた原子炉圧力容器炉内構造物RPVペデスタル、CRDハウジング、シュラウド、RPV支持スカート等)や配管の機械的な損傷・変形状況を把握すること。
実機調査によって、解析からの推定結果を補正し実験等によりその再現性が確認できることで、事故原因の解明や炉内状況の推定ができ、炉内状況推定の更新が図れること。
熱影響を受けたコンクリート(溶融・焼結状態よりは低温で、何らかのセメント水和物の熱変質が起きる条件)の構成相と核種の相互作用の理解がされること。
事故時から現在に至るまでの炉内環境にさらされている炉内構造物コンクリート経年劣化も含めた特性(例えばコンクリート中の空隙構造変化と水和物変化)を把握することが望まれる。
汚染されたコンクリートの微生物による構造物経年劣化機構の解明とともに、作業中の構造物の変形・破壊の状況を把握すること。
以上を達成することで、燃料デブリ取り出しを安全かつ効率的に実施することが可能となる。また、その安全性を継続して確保することが可能となる。

理想に対する現状

【1号機】

2017年3月に実施された格納容器内部(地下1階)を対象とした調査から、ドレンサンプ(X-100B側)周辺の視認される既設構造物(バルブ、配管、鋼材等)に関して大きな変形や損傷がないことが確認されている。なお、2015年4月にはB2調査に支障がないかという観点で1階グレーチング上が調査されており、アクセスルート上の既設設備(HVH, PLR配管、ペデスタル壁面等)の大きな損傷は確認されていない。ただし、PCV底部のサンドクッションドレン管から漏水しているため、PCVの損傷が生じたと推定されている。
2022年2月に水中ROVを用いたPCV内部調査が開始された。これまでに、目視調査、堆積物厚さ測定等を順次実施しており、目視調査ではペデスタルの作業員アクセス口の周辺外側及び内側に既設構造物か燃料デブリかの特定はできていないものの塊状の堆積物が確認されている。また、2023年3月にはペデスタル内部に水中ROVを侵入させる調査を実施し、作業員アクセス口付近やペデスタル内壁面のほぼ全周で、ペデスタル下部のコンクリートが消失していることが確認されている。本件に関して「廃炉・汚染水対策事業」にて、IRIDが2016年度にペデスタルの一部が損傷した状態における耐震性評価を実施しており、支持機能を大きく損なわないことを確認している。また、東京電力は今後内部調査により知見の拡充、評価を実施していくことを前提として、現時点の情報等を基に、ペデスタルの損傷に伴うプラントへの影響について考察している。それによれば、ペデスタル外面の確認状況を踏まえ、東京電力はペデスタルの損傷により想定される支持すべき構造物の移動、衝突や落下については、大規模な損壊等に至る可能性は低いと想定しており、また、仮にペデスタルの支持機能が低下し、RPV等が傾斜、沈下した場合の安全上の影響として、燃料デブリの冷却、ダスト飛散、臨界の影響について考察した結果、周辺の公衆に対し、著しい放射線被ばくのリスクを与えることはないと考えられるとしている。
ペデスタル下部のコンクリート消失を受けて、地震動による強度評価を実施したところRPV ペデスタル基礎部のインナースカート、ペデスタル上部構造物のスタビライザ及びバルクヘッドは地震時荷重を支持可能であることから大規模な損壊には至らないと評価されている。
2024年2月には無線小型ドローンによるPCV内部(気中部)調査が実施された。調査によって得られた情報は以下の通り。
① ペデスタル外壁に大きな損傷はなかった。また、CRD交換用開口部外側には落下物があるものの、既存構造物はおおむね形を保っており、CRD交換用レール周辺には目立った障害物がないことを確認した。
② 脱落したCRDハウジング(複数のCRD関連機器を含む)がペデスタルのCRD交換用開口部の一部を塞いでおり、その上部には塊状の物体(つらら状になっている部位もある)が付着している様子が確認され、上方より移行してきたものと推定された。
③ ペデスタル内壁面には著しい損傷は確認されず、ケーブルの中継箱等の既設設備や既設TIP(移動式炉心内計装)開口部も確認された。
2024年3月からPCV注水量低減によるPCV水位低下作業を実施し、一部堆積物が気中に露出した可能性を踏まえ、2024年夏季および2025年冬季にPCV内部環境調査(線量・温度・靄量測定、レーザースキャン等)を実施。取得データを今後の調査装置設計やモックアップ条件に反映する。

【2号機】

2018年1月に実施されたペデスタル内調査において、ペデスタル内壁面及びペデスタル内の既設構造物(CRD交換機)、そしてCRDハウジングサポートについては大規模な損傷は確認されていない。ただし、ペデスタル底部には燃料集合体の一部(上部タイプレート)が落下している。なお、2017年1月~2月にかけて実施されたペデスタル内の調査においては、CRDレール側においてグレーチングの脱落やゆがみがあることが確認されている。また、ミュオンの測定結果も踏まえれば、燃料溶融に伴い圧力容器内は高温になったが、セパレータ、ドライヤはそこに存在していると考えられる(形状を維持しているかまでは不明)。
2024年11月7日および2025年4月23日に試験的取り出しを実施し、燃料デブリサンプルを採取。サンプルは構外分析施設へ輸送され、外観観察・元素マッピング・化学組成・同位体比・線量率等の分析が開始済み。
ロボットアームによる内部調査・取り出しは、JAEA楢葉でのモックアップ検証(エンクロージャ組込みのワンスルー試験完了、カメラ改修対応等)を経て、2026年度着手見込み。

【3号機】

2017年7月に実施されたペデスタル内調査において、CRDハウジング、プラットフォームを確認している。CRDハウジングにおいては、支持金具が複数個所で損傷/脱落しており、隣接するCRDフランジ面のレベルや間隔が異なることが確認されている。そして、CRDハウジング近傍にCRガイドチューブ・CRDインデックスチューブと推定される構造物が確認されている。プラットフォーム近傍においては、プラットフォームの鋼製部材の一部を確認(プラットフォームが崩落している)しており、グレーチングは確認できていない。また、ミュオンの測定結果も踏まえれば、セパレータ、ドライヤはそこに存在している可能性が高いと考えられている(形状を維持しているかまでは不明)。
X-53ペネからのマイクロドローン投入によるペデスタル外側のPCV内部状況の調査を2025年度中に実施予定で準備中。TIP案内管経由のファイバースコープにより、作業員アクセス口付近のペデスタル外側での流出状況確認も検討中。

解決すべき課題

これまでに得られた情報の更なる詳細化、妥当性の評価の実施
圧力容器内部等の炉内構造物が密集していると考えられる未調査エリアの推定・実機による確認
RPV内において3次元点群データを取得するための耐放射線性レーザスキャナ等及び耐放射線性無線LANアクセスポイント等を構築できる技術。現在、PCVの内部調査が実施されているが、今後、より高線量が想定されるRPVの内部調査が行われる。PCV内の状況は未だ不明であるため、まずはRPV内がどの様な状況になっているのか(何がどこに存在し、どこまで壊れているのか、等)を把握したい。RPV内部の状況を詳細に把握するには、カメラでの映像に加えて、3次元点群データの取得が有用であり、そのためには高い耐放射線性を有するレーザスキャナが求められる。2024年2月に実施されたPCV内部調査では、ヘビ型ロボットに搭載した無線中継器を設置することにより、ペデスタル内でも無線ドローンを使用することができ、飛行時間の制約があるものの相当量の映像情報が得られることが確認できた。RPV内部調査においてはより大きな制約となることが考えられるが、無線伝送が可能となれば、RPVへのアクセスの自由度を高めることができる。そのためには、耐放射線性の無線LANアクセスポイントをPCVおよびRPV内部に設置する必要がある。
また、無線LANの電力源として、配線不要でエネルギーを送受する無線やレーザー等の伝送技術やそのエネルギーを構造物の影響を回避しながら特定の場所へ届ける技術が開発されることが求められる。無線給電によって得る電力は、無線LANのほかにも照明としての利用可能性もあり、実現すると暗闇の場所の調査の効率化にも資する。
共通課題として、直接映像が未取得の領域が各号機に残存しており、新規調査技術(水中ROV/ドローンの更なる活用等)を取り込みつつ、優先調査エリアを明確化した調査計画の継続的アップデートが必要。
高線量環境での遠隔操作装置運用に加え、作業員被ばく低減・偏在防止、長期的人材確保、被ばく評価システム整備、モックアップ訓練による習熟の計画的実施が必要。
工法は、現場状況の不確実性や外部事象にロバストであることが求められ、排除不能なリスクについては事前の発生時対応策を整備する。

参考文献

(参考)関連する研究課題

実施されている研究課題

H27年度英知沸騰水型軽水炉過酷事故後の燃料デブリ取り出しアクセス性に関する研究 [資料]
R1年度英知Multi-Physicsモデリングによる福島2・3号機ペデスタル燃料デブリ深さ方向の性状同定 [資料1] [資料2]
R1年度英知拡張型スーパードラゴン多関節ロボットアームによる圧力容器内燃料デブリ調査への挑戦 [資料1] [資料2]
廃炉・汚染水対策事業原子炉圧力容器内部調査技術の開発(調査計画・開発計画の立案・更新、上部から炉心にアクセスする装置の開発、炉心部までの調査方式の開発、選定、調査装置全体システムの設計と工法計画) [資料1] [資料2]
廃炉・汚染水対策事業原子炉格納容器内部詳細調査技術の開発(1号機-堆積物PJ)(調査計画・開発計画の策定、アクセス・調査装置及び調査技術の現場実証) [資料]
廃炉・汚染水対策事業原子炉格納容器内部詳細調査技術の開発(2号機-X-6ペネ)(調査計画・開発計画の策定、アクセス・調査装置及び調査技術の現場実証) [資料]
廃炉・汚染水対策事業原子炉格納容器内部詳細調査技術の開発(調査計画・開発計画の策定、アクセス・調査装置及び要素技術の開発) [資料1] [資料2]
廃炉・汚染水対策事業総合的な炉内状況把握の高度化(炉内状況の総合的な分析・評価) [資料1] [資料2]
廃炉・汚染水対策事業原子炉格納容器内部詳細調査技術の開発 [資料1] [資料2]
廃炉・汚染水対策事業福島第一原子力発電所廃止措置統合管理のための支援技術の開発(原子炉格納容器内の連続的な監視システムの開発) [資料1] [資料2]
R2年度英知合理的な処分のための実機環境を考慮した汚染鉄筋コンクリート長期状態変化の定量評価 [資料1] [資料2]
R3年度英知事業燃料デブリ周辺物質の分析結果に基づく模擬デブリの合成による実機デブリ形成メカニズムの解明と事故進展解析結果の検証によるデブリ特性データーベスの高度化 [資料1] [資料2]
廃炉・汚染水・処理水対策事業原子炉圧力容器内部調査技術の開発(上部側面アクセス調査工法の技術開発、下部アクセス調査工法の技術開発)
廃炉・汚染水・処理水対策事業原子炉圧力容器内部調査技術の開発(既存配管を利用しての原子炉圧力容器内部調査の技術開発) [資料1] [資料2]
廃炉・汚染水・処理水対策事業原子炉圧力容器内部調査技術の開発(上部アクセス調査工法における加工技術の高度化、下部アクセス調査工法の開発) [資料]
R4年度英知3次元線量拡散予測法の確立とγ線透過率差を利用した構造体内調査法の開発 [資料1] [資料2]
R5年度英知高バックグラウンド放射線環境における配管内探査技術の開発 [資料]
R5年度英知動画像からの特徴量抽出結果に基づいた高速3次元炉内環境モデリング [資料]
R5年度英知ペデスタル部鉄筋コンクリート損傷挙動の把握に向けた構成材料の物理・化学的変質に関する研究 [資料]
R6年度英知デブリ取り出しの安全性確保を目的とした中性子源等のイメージング手法の研究 [資料]
R6年度英知耐放射線性を有するレーザスキャナとAI・画像処理による3Dモデリング法の開発 [資料]
R7年度英知群知能を用いた多リンク型ロボットによる多視点環境情報計測及び試料採取技術に関する研究

検討されている研究課題

特になし

関連する課題

資料

関連サイト