英知事業出身者の活躍
Vol. 3
佐々木和仁Kazuhito Sasaki
2021年3月掲載
Profile | |||
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所属 | 東京電力ホールディングス株式会社 福島第一原子力発電所 運用部 水処理計画グループ | ||
経歴 |
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英知事業 採択課題 |
平成27年度 英知を結集した原子力科学技術・人材育成事業 廃止措置研究・人材育成等強化プログラム、 採択課題:「廃炉に関する基盤研究を通じた創造的人材育成プログラム-高専間ネットワークを活用した福島からの学際的なチャレンジ-」、研究代表者:青柳克弘(福島工業高等専門学校) |
現在の仕事内容について
~責任感を持って、汚染水を処理する~
私は福島第一原子力発電所で、日々発生している汚染水からトリチウム以外の放射性物質の大部分を除去する設備の運転に関わる業務を担当しております。具体的には設備運転予定の策定及び運転指示、設備の点検や修理等の作業調整です。
本業務は、滞りなく汚染水の処理を行うことで、汚染水によるリスクの低減に直結する重要な業務であるため、日々その責任を感じながら取り組んでおります。
学生時代の英知事業の活動について
~廃炉創造ロボコンに参加~
学生時代に『廃炉創造ロボコン』という福島第一原子力発電所の廃炉をテーマとしたロボットコンテストに参加しました。私が参加したときの競技課題は、「急勾配の階段をロボットで上る」というものでした。一見、簡単そうに思われる課題ですが、単純な作業であってもロボットで実現させることは、非常に難しいものです。頭を悩ませながら階段走破のアイデアを出していた日々を昨日のことのように思い出します。また、大会に挑むにあたり、JAEA楢葉遠隔技術開発センターで事前に見させていただいた急勾配の階段や実寸台の模擬S/C
(1/8サイズ)など、豊富な設備とその大きさに圧倒されたことを覚えています。大会当日も他チームのアイデアの豊かさや独特な発想から作られたロボットに競技そっちのけで心躍らせておりました。
早い段階で、ロボットだけでなく実際に廃炉に関わる競技に参加することにより、廃炉分野へ触れられたことが現在につながっていると思います。
英知事業が現在の進路に与えた影響について
~廃炉作業等について理解を深め、不安が軽減~
私自身、震災や福島第一原子力発電所事故を身近で経験したことで、少なからず福島第一原子力発電所の廃炉というものに興味を持っておりました。しかしながら、廃炉に対して「危ない、怖い」など不安な思いを抱いていたのも事実でした。その中で、本事業に参加することで、福島第一原子力発電所事故や放射線、廃炉作業等について理解を深めたことが、抱いていた不安を軽減することにつながり、現在の進路を選択する一助となったと考えます。
今後の抱負
~最前線の現場に立ち続け、廃炉作業に尽力する~
この先、長い期間をかけて廃炉という課題に取り組み続けることになりますが、実際に現場で働いている一人として、廃炉作業が確実に進んでいることを実感しています。また、周辺地域には住宅や商業施設ができ、復興の様子を肌で感じることができます。私たちの世代は、この流れを絶やすことなく、維持するだけでなく加速させていくことが大切であると考えます。引き続き、廃炉作業の最前線の現場に立ち続け、廃炉作業に尽力する所存です。
~廃炉作業は“総合力”~
まずは好奇心を大切にし、何事にも興味を持つことが重要です。廃炉作業にはあらゆる分野の技術が活用されています。関係ないと思われる分野でも活きる可能性があります。私は、廃炉作業は“総合力”だと考えております。様々な技術・知識を身につけた皆さまと、廃炉という困難な課題を成し遂げた将来を共に見ることができれば嬉しく思います。