課題番号:処-102
段階:Preparation
廃炉プロセス処理・処分・環境回復(燃料に由来するα核種が含まれる廃棄物含む)
検討対象キャラクタリゼーション②
課題廃棄物戦略

ニーズ

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① 性状把握結果を踏まえて下流(輸送、保管、貯蔵、処理、処分)を合理化したい。

望ましい状態とその理由

既発生瓦礫類等(焼却灰、スラグ含む)の放射能濃度評価方法を確立し、濃度による適切な保管・管理を行うことが望ましい。
性状把握結果を踏まえ、輸送、保管、貯蔵、処理、処分の方法を合理化するフィードバックをかけられることが望まれる。この際、個々の廃棄物の性状だけではなく、1F廃炉により発生する全ての廃棄物を勘案した全体的な合理化が望まれる。
燃料デブリの性状把握の進捗にともない、燃料デブリ等(燃料デブリ、金属デブリ、周辺堆積物など)と現行処分方針を対応させた処分に向けた課題の明確化、基礎知見の積み上げが望まれる。
固体廃棄物管理全体のうち、個別の固体廃棄物に対する性状把握から再利用、処分に至るまで一体となった対策の流れを評価し、その中で安全性や成立性が認められた個別廃棄物ストリームオプション案を蓄積する。そののち、全ての個別廃棄物ストリームオプション案を束ねて、全体の廃棄物ストリームを構築することが望まれる。

理想に対する現状

東京電力の保管管理計画では水処理二次廃棄物は、内包する放射能量の大きい吸着塔を優先的に建屋内への保管に移行する方針である。
水処理二次廃棄物について、吸着塔類の保管施設として、大型廃棄物保管庫の建設が進められている。また、含水率が高く流動性のある多核種除去設備等で発生したALPSスラリーについては安定化(脱水)処理の実施に向けた検討、除染装置スラッジについては高台の保管施設への移送が予定(2027年度回収着手予定)されている。
スラリーの放射線影響を考慮し、万が一落下した場合に健全性が確認できないHICについて、スラリー安定化処理設備の運用開始までの完了を目指しスラリーの移替えが実施されている。
放射性物質分析・研究施設第1棟において、標準的な分析法としてデータを簡易・迅速に取得するための分析手法を利用するための実証が2023年度に完了し、2024年度から本格的な運用が行われている。
高線量廃棄物の分析データの取得に向け、福島第一原子力発電所構内において採取されたセシウム吸着塔(KURION及びSARRY)の吸着材がJAEA茨城地区の分析施設に輸送され、分析法の検討が進められている。
高線量廃棄物保管時の水素発生対策として、フィルタの劣化(閉塞・破損)に影響を与える要因(水素脆化、放射線劣化等)とその確認方法について検討がなされてきた。
処理の観点で、低温処理技術に関し、実規模試験による実機適用の見通しの確認が行われるとともに、固化可能性検査手法のさらなる検討や各種処理技術により作製された固化体の安定性(浸出特性、長期変質現象、放射線影響等)評価手法について検討が行われている。また、適用範囲の拡大等、技術オプションの拡大に資するため、中間処理技術の候補として検討されている熱分解処理について、熱分解の基礎試験等から減重率が大きく、無機化が可能な廃棄物の確認が行われるとともに、実規模試験により適用性が確認され、発生した処理残渣の安定化に取り組まれている。
処分では、放射性廃棄物に関する処分の成立性に大きな影響を及ぼし得る重要シナリオの抽出を行い、重要シナリオ等に基づき処分概念に求められるニーズの把握が進められている。また、これらのニーズへの対応策として処分概念オプションの構築を実施するとともに、処分概念オプションの構築のための技術の高度化が図られている。

解決すべき課題

放射能濃度管理に移行するための分析手法の確立が必要である。
輸送、保管、貯蔵、処理、処分にフィードバックがかけられるよう、性状把握結果や各工程での要求事項の情報共有が円滑に行える体制の構築が必要である。
性状を把握した廃棄物の性状ごとに、輸送、保管、貯蔵における容器の仕様や処理・処分における方法における要求事項を整理する必要がある。
下流における要求事項を整理し性状把握に反映する必要がある。
水処理二次廃棄物の保管施設の設置等を検討する必要がある。
性状把握結果を踏まえた建屋内保管のための設備設計やシナリオを検討する必要がある。
分析データを蓄積しインベントリ評価の改善を行いながら、処理・処分まで見通した廃棄物対策の反映が求められている。また、ガレキや水処理二次廃棄物、燃料デブリ取り出しに伴い発生する廃棄物といった様々な廃棄物の特徴に応じた取り組みが必要となる。
放射能濃度や性状等のリスクに応じた保管・管理が求められる。また、性状把握へのフィードバックの観点からも、保管・管理状況のモニタリングにおける測定項目や時期の見直しが重要となる。
明らかになりつつある性状データ等を用いて、各分野の研究成果を相互にフィードバックしながら検討を繰り返すことで、安全性や成立性が認められた個別廃棄物ストリームのオプション案について、その特徴を評価し、個別廃棄物ストリームオプション案を蓄積する必要がある。また、この検討を通じて、各分野の研究開発課題や固体廃棄物の管理に係る課題等の抽出・整理が重要となる。

参考文献

(参考)関連する研究課題

実施されている研究課題

廃炉・汚染水対策事業固体廃棄物の処理・処分に関する研究開発(研究開発成果の統合:廃棄物ストリーム) [資料1] [資料2]
廃炉・汚染水対策事業固体廃棄物の処理・処分に関する研究開発 [資料1] [資料2] [資料3] [資料4]
廃炉・汚染水対策事業固体廃棄物の処理・処分に関する研究開発(スラリーの低温固化処理に関する研究開発) [資料]
廃炉・汚染水・処理水対策事業固体廃棄物の処理・処分に関する研究開発(セシウム吸着塔からの吸着材採取技術および固体廃棄物の分別に係る汚染評価技術の開発) [資料1] [資料2]
H28年度英知汚染コンクリートの解体およびそこから生じる廃棄物の合理的処理・処分の検討 [資料]
R2年度英知溶脱による変質を考慮した汚染コンクリート廃棄物の合理的処理・処分の検討
R5年度英知放射性コンクリート廃棄物の減容を考慮した合理的処理・処分方法の検討

検討されている研究課題

特になし
② 性状把握結果を踏まえて上流(取り出し、解体、分別等)を合理化したい。

望ましい状態とその理由

性状把握結果を踏まえ、輸送、保管、貯蔵、処理、処分を検討した上で、取り出しや解体、分別の方法を合理化するフィードバックをかけられることが望まれる。この際、個々の廃棄物の性状だけではなく、1F廃炉により発生する全ての廃棄物を勘案した全体的な合理化が望まれる。
取り出しや解体、分別の方法を合理化するフィードバックについては、クリアランスを念頭に置いたシナリオ検討や測定方法の確立を踏まえた検討、クリアランスの可否と従来区分の適用性の確認に関する戦略構築が望まれる。
燃料デブリの性状把握の進捗にともない、燃料デブリ等(燃料デブリ、金属デブリ、周辺堆積物など)の性状把握と分別に関する課題の明確化、基礎知見の積み上げが望まれる。
最終的な被ばくリスクを受容しうる程度に軽減することが目的である廃棄物管理を、燃料デブリ取り出しも含めて総合的に検討することが望まれる。

理想に対する現状

1号機のPCV内部調査として、2023年度までに水中ROVによる調査で得られた地下階の情報に加えて、2024年2月~3月に、1階エリアの調査を主としたPCV内部調査(気中部調査)が行われ、ペデスタル外とペデスタル内の既設構造物の状態や堆積物、落下物等に係る映像などの情報が得られている。

解決すべき課題

燃料デブリ取り出しや解体、分別の方法によって発生する廃棄物は大量かつその性状は異なってくると思われるので、それらの発生量や性状を把握する必要がある。
また、燃料デブリ取り出しや解体、分別の方法によって発生する廃棄物の性状を把握した上で、各廃棄物の下流(輸送、保管、貯蔵、処理、処分)にかかるコストや作業を合理的に判断して、燃料デブリ取り出しや解体の工法やシステムにフィードバックをかける必要がある。
例えば、水処理二次廃棄物の処理・処分側から、燃料デブリ取り出し側に要件や要求事項、留意事項が示されることが望まれる。
また、コストの観点からは、処理実績があり(水処理二次廃棄物の性状把握が容易な/処理が容易な)、かつ安価な水処理技術が望まれる。
必要に応じて、PCV内部調査等で得られた情報を今後の工法の検討に反映させる必要がある。

参考文献

(参考)関連する研究課題

実施されている研究課題

廃炉・汚染水対策事業固体廃棄物の処理・処分に関する研究開発 [資料1] [資料2] [資料3] [資料4]

検討されている研究課題

特になし

関連する課題

資料

関連サイト