課題番号:汚染水-101
段階:Preparation
廃炉プロセス汚染水対策
検討対象現状把握
課題汚染源の現状把握

ニーズ

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① 汚染源の現状を把握したい。
時間軸:汚染水対策短期

望ましい状態とその理由

汚染源の現状(汚染源の性状や周辺環境)に係る情報を把握することが望まれる。何故なら、最終的には汚染源を取り除き、汚染源を処理する必要があるためである。
具体的には、汚染源の性状や周辺環境に係る情報があれば、汚染源にどの様にアクセスするのか、汚染源をどの様に取り出すのか、取り出した汚染源をその後どの様に取り扱う(処理する)のか、といった検討を合理的に行うことが可能となるためである。

理想に対する現状

2020 年に 1~3 号機原子炉建屋、プロセス主建屋及び高温焼却炉建屋を除く、建屋内滞留水の処理が完了した。
現在、汚染源として特に重要と考えられるものに、原子炉建屋のトーラス室底部の滞留水、プロセス主建屋、高温焼却炉建屋の最下階に高線量状態で存在するいわゆる「ゼオライト土嚢」が挙げられる。

トーラス室滞留水

原子炉建屋のトーラス室底部には、αスラッジとイオン状のα核種を含む滞留水が存在しており、比較的高いα核種濃度が検出されている。また、α核種だけでなく、事故直後の状態に近い高濃度の放射性物質や塩分を含む高濃度滞留水が存在している。
現在、滞留水の性状分析が行われ、α核種の拡大防止のための除去方策が検討されつつある。 ALPS 等で処理される前の汚染水中に有意に存在し得る核種が検証されており、対象核種として29核種が選定されている。

ゼオライト土嚢

プロセス主建屋、高温焼却炉建屋の最下階には高線量状態の、ゼオライト土嚢が存在している。
ゼオライト土嚢については、滞留水処理に先立ち、遠隔重機・ROV 等により1階まで直送し、脱水して容器に充填する「水中回収」工法の検討が進められている。

解決すべき課題

トーラス室滞留水

原子炉建屋のトーラス室底部におけるα核種の化学形態は水質や共存物質によっても変化する可能性があり、確実な除去のためには、できるだけ複数の場所からサンプリングし、性状のばらつきを把握する必要がある。性状分析については、今後サンプリング数を増やし、着実にデータを拡充し、データ分析を行う必要がある。ここでは、研究開発上の大きな課題は存在しないと考えられる。
αスラッジには高濃度の Cs-137 も含まれているため、除去方策については、作業員の被ばく線量低減対策やメンテナンス性、二次廃棄物の観点からの検討も求められる。また、処理工程に関しては、滞留水の性状や周辺環境を考慮した最適な処理方法の検討が望まれ、研究開発上の課題が存在する。

ゼオライト土嚢

ゼオライト土嚢の存在位置、周辺環境が十分に明らかになっておらず、回収方法の最適化に至っていない。ゼオライト土嚢の「水中回収」工法では、混濁した水中での視認性の確保やゼオライトの回収率向上等が課題であり、モックアップ等を用いた事前検討が重要となる。また、ゼオライトを一部回収できなかった場合の影響評価や線量低減の代替策についても検討を進める必要がある。
現在は、最下階に設置しているゼオライト土嚢等の回収準備が取り組まれている。

参考文献

(参考)関連する研究課題

実施されている研究課題

R3年度英知中赤外レーザー分光によるトリチウム水連続モニタリング手法の開発

検討されている研究課題

関連する課題

資料

関連サイト