課題番号:共-3
 
廃炉プロセス共通項目
検討対象測定・分析技術

ニーズ

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① デブリに対する測定・分析技術を確立したい

望ましい状態とその理由

「東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所原子炉施設実施計画検査実施要領」では、リスクとして「公衆に対する放射線安全への影響」「従業員に対する放射線安全への影響」「安全確保設備等への影響」「品質マネジメントへの影響」「廃炉プロジェクトマネジメントへの影響」「防護措置への影響」に着目している。そのため、これらの監視に役立つ測定・分析技術が求められる。
燃料デブリは各種物性値において不均質性を有するため、評価における不確かさに幅が生じる。不確かさの幅を低減することで、安全評価及び安全対策の中に過度な裕度を含める必要がなくなり、廃炉の迅速性、合理性が向上する。

理想に対する現状

2021年に開始した燃料デブリ取り出し以降、燃料デブリを含むサンプルの分析を進めている。サンプル分析・調査を進めて得られる知見や情報は、事故履歴調査(燃料・構造材の量、FP付着量、熱履歴、機器作動状況)や取り出し工法、輸送・貯蔵・保管、処理処分、それらに関わる作業員安全に活用し、取り出し時のみならず処理処分までを見据えた安全かつ効率的な廃炉を進めていくことが望まれる。
上記の項目に活用するために、燃料デブリの分析で得るべきデータは、「核種・元素の量」「形状・相状態」「物理状態(密度、空孔分布)」「ミクロスケールでの物理・化学状態」に大別される。
燃料デブリを、上記の目的・項目で情報を取得するためには方法論として、原子炉格納容器内部に存在する燃料デブリを直接測定・分析できる技術・方法と、取り出された後にホットラボ等に輸送してデブリを詳細に分析できる技術・方法の双方が見込まれている。
燃料デブリを含むサンプルは様々な状態で存在することが想定されるため、 サンプルの初期条件に柔軟性を持ち、様々なケースに対応した測定・分析技術を確立することが望まれる。

解決すべき課題

分析結果の活用目的(例えば燃料デブリの取り出しに活用するのか、燃料デブリの保管に活用するのか)によって、同じ分析手法を用いて同じデータを取得する場合でもやり方が変わる点に留意が必要である。分析結果の解釈、解析、評価も含めての分析技術であることが重要である。
SEMにおいては観察する場所などが重要となる。試料は一つずつ全て異なるため、未知試料へのアプローチが課題となる。これらを含めて分析技術と言える。
燃料デブリの取り出しに資する測定・分析技術を開発するためには、止める/冷やす/水素(安全状態の維持)、切断時のαダスト等の閉じ込め、燃料デブリの分別や工法・システム(燃料デブリの取り扱い性や作業性等)、そして、原子炉圧力容器内部の炉内状況把握に資するデータのほか、これらの項目に複数にまたがって有用と考えられる指標(例えば、燃料デブリの燃焼率等)の情報の取得を目指す必要がある。
臨界安全評価において、現状では保守的な仮定に基づくホウ酸注入、非溶解性中性子吸収物質の事前投入、中性子測定に基づく未臨界度合監視作業等が検討されているところであるが、燃料デブリサンプルの分析とそれに基づく合理的な評価により、号機毎・部位毎の燃料デブリの臨界可能性有無に係る根拠(例えば、中性子吸収物質のUとの随伴性、Uの量、中性子吸収材等)を示す必要がある。
発熱・冷却対策において、発熱対策は現場での冷却水注入停止試験により温度分布の変化を評価することで解析的に評価できるが、特定部位で温度上昇が見られた場合にはU同位体比やFP組成等、熱源に係る知見を取得することが重要となる。その一方で、冷却対策では、冷却方法を変えることによる化学環境変化が燃料デブリの特性に与える影響評価や、負圧管理時に雰囲気への酸素混入に起因する燃料デブリ表面や堆積状態の変化に関する評価が重要となる。
水素発生対策においては、水素発生源として考えられるβ・γ核種(特に低エネルギー線の影響大)による冷却水の放射線分解、及び燃料デブリ取り出し時に新たな表面が暴露されることによる未酸化物質と冷却水との反応に関する評価が必要となる。
切断時のαダスト等の閉じ込めにおいて、現状では切断方法としてレーザー切断や機械的な切断を念頭に、模擬デブリを用いた切断模擬試験及び過去のホットセルでの経験等によるダスト飛散の概略評価が進んでいる。レーザー切断に関しては、燃料デブリの高温化に伴う酸化度の変化(酸化度が低い場合には低次酸化物が生成される可能性があり、再蒸発の懸念がある)や含有する揮発性物質がどの程度飛散するかの評価が重要である。機械的切断に関しては、燃料デブリの機械的な特性(硬さ、もろさ、融点等)及び化学的な特性(相や化合物の混合物・凝集物としての平均的な特性等)の把握が重要となる。
燃料デブリの取り扱いに関しては、安全性・作業性の観点と、放射線量の観点からの検討が必要である。まず、安全性・作業性の観点からは、化学的に活性と考えられる金属系デブリの取り扱い、取り出し作業における新たな燃料デブリ表面露出による局所的な化学反応・FP溶出、硬い物質(残留B4C、ホウ化物)の残留・析出等の解明が課題である。なお、空冷の場合には、燃料デブリ表面に付着する微粒子などが飛散する可能性があるため、乾燥時の表面付着物も考慮する必要がある。次に、放射線量に関しては、作業員被ばく管理や使用機器の寿命評価の基礎データとして燃料デブリの線量率が重要な情報となり、また、時々の線量率評価に必要な線源情報を分析により把握することが重要である。
燃料デブリ取り出しの横アクセス工法の検討においては、相当量の燃料デブリが残留しているRPV内部の状態評価精度の向上が重要となる。このためには、ペデスタル等から取得される燃料デブリを含むサンプルの分析に基づき、事故進展逆問題解析により、RPV下部プレナムでの燃料デブリ堆積や下部ヘッドの破損状況の評価精度を向上することが重要となる。逆問題解析で重要となる分析項目は、燃料デブリや堆積物の主成分(U, Zr, Fe, B等)の化学特性とその評価に係る項目であり、特に重要となるのはUを含有する粒子及び相の化学特性である。
燃料デブリ中のU, Pu, 可燃性毒物, FP核種の濃度が不明の場合、燃料デブリの臨界安全や冷却、輸送・貯蔵容器の放射線遮へい、導入機器の耐放射線性、水素発生等の対策においては、最大(または最小)燃焼度を仮定し、可燃性Gdなし、残存FPなし(または全FP残存)等、燃料デブリ取り扱いに応じた保守的仮定をおき、安全性評価が進められると考えられる。極端な保守的仮定は取り扱い量が多くなる燃料デブリの取り出しを遅延させ、新たなリスクを発生させる可能性があるため、より合理的な保守的評価を可能にするために、燃焼率指標(燃料デブリ中の148Nd(または代替となる核種or元素)質量/U質量、燃料デブリ中の235U質量/U質量)の分析が望まれる。
燃料デブリの保管・管理に係る分析としては、臨界安全、核種・放射能、化学的安定性・経年変化、そして保管施設の合理化を考慮する必要がある。
保管・管理における臨界安全に関する分析では、基礎データとして燃料デブリ中の核燃料物質の組成及び同位体比が重要となるととともに、主な中性子吸収物質の組成や同位体比、燃料デブリの密度、含水率等の基礎情報が必要であり、燃料デブリ分析・評価の指標となる148Nd等の情報もFPの寄与を評価するうえで重要である。なお、燃料デブリは多様な組成の核燃料物質が非均質に混合していることが想定されるため、非均質性は考慮すべき事項である。
保管・管理における核種、放射能に関する分析では、水素発生量、発熱量の評価に必要な情報を取得する必要がある。水素発生量に関しては水素発生に寄与しうる核種(α線源、β線源、γ線源)とそれらの放射能強度、及び放射線源の物理的性状(粒形等)、収納物の含水率あるいは収納容器中の水分量を推定する必要がある。また、発熱量に関しては、収納後数十年間の発熱に寄与する核種(137Cs, 90Sr)に関する各種の放射能測定、そして、アクチノイド核種の燃料デブリ中の濃度測定(対ウラン比)に関するデータが必要となる。
保管・管理中における経年変化に関する分析では、これまで模擬燃料デブリによる経年変化挙動の評価が進められてきたが、今後は実際の燃料デブリを用いて実証することが重要となる。具体的に、燃料デブリの特性(特にアクチノイド元素等のキーとなる元素の存在状態、化学状態)、物理的・化学的・生物学的メカニズムの検証(温度変化による風化、水との接触による溶出、微生物による分解作用等)の確認・検証が必要である。
保管・管理中における化学的安定性に関しては、収納容器の腐食評価に関する知見や情報の収集が重要となる。燃料デブリ中及びその周辺の液相中のpH、塩素イオン濃度、窒素酸化物濃度に関する分析が望まれる。
保管施設の合理化に関しては、収納する燃料デブリの核種とその放射能強度を分析し、収納缶の発熱量を評価し、冷却能力の確認を行うことが望まれる。
燃料デブリの処理処分に係る分析としては、燃料デブリに含まれる放射性核種のインベントリ、燃料デブリの臨界安全評価・溶出特性、燃料デブリに含まれる影響物質・環境物質、燃料デブリの熱的・力学的特性、水素発生特性や腐食等への影響に関する分析が必要である。
燃料デブリに含まれる放射性核種のインベントリや核種移行パラメータ値は処理処分の安全性の評価のために用いられる。なお、大熊の分析研究施設においては処分において重要と考えられる38核種(3H, 14C, 36Cl, 41Ca, 60Co, 59Ni, 63Ni, 79Se, 90Sr, 93Zr, 94Nb, 93Mo, 99Tc,107Pd, 126Sn, 129I, 135Cs,137Cs, 151Sm, 152Eu, 154Eu, 233U, 234U, 235U, 236U, 238U, 237Np, 238Pu, 239Pu, 240Pu, 241Pu, 242Pu,241Am, 242mAm, 243Am, 244Cm, 245Cm, 246Cm)を対象とした分析計画がたてられている。
処分の安全評価においては、環境条件の変動を把握し、信頼性の高い評価とするためには、燃料デブリの臨界安全評価、燃料デブリからの核種の溶出特性(処理後の廃棄体を含む)、処分環境条件(核種移行パラメータ(溶解度、バリアの収着分配係数、拡散係数等)に影響を及ぼす液性)や人工バリアの諸特性に影響を及ぼす含有物質(影響物質)の化学組成、量の把握が重要となる。さらに、これらの影響物質の把握と併せて、環境に影響を与える有害物質の組成、量の把握も重要となる。
適切な廃棄体や処分施設の設計を行うためには、廃棄物の特性を把握することが重要となる。特に、燃料デブリの場合、周囲の処分環境条件に熱影響を与える可能性があることから、その影響を評価することが重要となる。
AI/機械学習を応用することで1F廃炉で活用している技術を高度化(効率化、精度向上)したい。
例①放射線計測技術への応用:1F廃炉においては、既設の原子力プラントの廃止措置と異なり、汚染状況は未知である。そのため、放射線測定結果(例えばスペクトル)では、各核種の放射能濃度を分析することが困難な場合があり、より詳細な測定・分析を行う必要があり、この作業が膨大となる。そこで、既知の資料に対する測定結果や、シミュレーション結果をAIに機械学習させ、未知の資料に対する測定結果から真値を類推する技術を開発する。これが可能となれば、分析に係る作業・時間を大幅に短縮させることが可能となる。
例②放射性廃棄物・燃料デブリ分析技術への応用:どんな汚染状況かも未知である放射性廃棄物。様々なものが溶け込んで構成されている燃料デブリ。汚染分布や構成成分・濃度は不均一かつ非均質であるため、全体を正確に知るためにはサンプル分析ではなく、全量分析が必要となる。ここにAIを導入することで、極力少ないサンプルから全体を精度高く類することを目指す。これが可能となれば、分析に係る作業・時間を大幅に短縮させることが可能となり、また二次廃棄物の発生量を大幅に抑制することができる。
上記はAIの活用事例の一つのアイデアであるが、他にもAIを活用して1F廃炉における課題の解決に資することが期待される。
そのためには、1F廃炉における課題・ニーズを具体的に明らかにするとともに、1F廃炉のニーズ側と、AI技術のシーズ側の協働・共創が重要となる。

参考文献

(参考)関連する研究課題

実施されている研究課題

廃炉・汚染水対策事業燃料デブリの性状把握のための分析・推定技術の開発 [資料1] [資料2]
R1年度英知耐放射線性ダイヤモンド半導体撮像素子の開発 [資料]
R1年度英知燃料デブリ取り出し時における炉内状況把握のための遠隔技術に関する研究人材育成 [資料]
R1年度英知燃料デブリ分析のための超微量分析技術の開発 [資料]
R1年度英知拡張型スーパードラゴン多関節ロボットアームによる圧力容器内燃料デブリ調査への挑戦 [資料]
R1年度英知単一微粒子質量分析法に基づくアルファ微粒子オンラインモニタリングに向けた基礎検討 [資料]
R2年度英知β、γ、X線同時解析による迅速・高感度放射性核種分析法の開発
R2年度英知マイクロ波重畳LIBSによるデブリ組成計測の高度化と同位体の直接計測への挑戦
R2年度英知無人航走体を用いた燃料デブリサンプルリターン技術の研究開発
廃炉・汚染水対策事業燃料デブリの性状把握のための分析・推定技術の開発(燃料デブリの分析精度の向上及び熱挙動の推定のための技術開発)
廃炉・汚染水対策事業燃料デブリの性状把握のための分析・推定技術の開発
廃炉・汚染水対策事業燃料デブリの性状把握のための分析・推定技術の開発(燃料デブリの経年変化特性の推定技術の開発)
廃炉・汚染水対策事業燃料デブリの性状把握のための分析・推定技術の開発(燃料デブリの分析精度の向上、熱挙動の推定及び簡易分析のための技術開発)
R3年度英知世界初の同位体分析装置による少量燃料デブリの性状把握分析手法の確立
R3年度英知アルファ微粒子の実測に向けた単一微粒子質量分析法の高度化

検討されている研究課題

特になし
② 廃棄物に対する測定・分析技術を確立したい

望ましい状態とその理由

放射性廃棄物の処理・処分は、処分後の長期に亘る安全性を評価する必要があるため、廃棄物中に含まれる核種・物質の性状・把握に資する測定・分析を測定・分析可能な技術を確立することが望まれる。
固体廃棄物は性状が多様でかつ物量が多いため、分析施設の整備や分析人材の育成に取り組むとともに、性状把握を効率的に実施できる分析・評価手法を用いる必要がある。

理想に対する現状

難測定核種の測定は困難を伴う。炭素やヨウ素であるが、例えば、ヨウ素は気体になりやすいため、元の物質状態などを考慮して前処理方法を考える必要がある。
JAEAの大熊分析・研究センター第1棟については2022年から運用を開始、同第2棟については2026年度の竣工を目指している。当面は限られている分析データに基づいて評価データを得るモデルの精度向上を図ることが重要となる。そのため、解析的手法を用いたインベントリ評価において、分析データのばらつきを反映させる方法や分析データと解析地を総合的に評価して放射能インベントリを設定・更新するシステムの概念の検討が重要となる。

解決すべき課題

効率的な廃炉の推進のための手段としては、放射化学的分析に加えて、分光学的な方法等による迅速な測定(その場分析・オンサイト分析)を活用した性状把握の実施も検討するべきであり、そのために必要な研究開発の推進が期待される。

参考文献

(参考)関連する研究課題

実施されている研究課題

H30年度英知レーザー共鳴イオン化を用いた同位体存在度の低いストロンチウム90の迅速分析技術開発 [資料]
R1年度英知レーザー共鳴イオン化を用いた同位体存在度の低いストロンチウム90の迅速分析技術開発 [資料]
H30年度英知実験と数理科学の融合による高度マイクロ核種分析システムの創製
R1年度英知燃料デブリ分析のための超微量分析技術の開発 [資料]
R1年度英知単一微粒子質量分析法に基づくアルファ微粒子オンラインモニタリングに向けた基礎検討 [資料]
R2年度英知マイクロ波重畳LIBSによるデブリ組成計測の高度化と同位体の直接計測への挑戦
R2年度英知β、γ、X線同時解析による迅速・高感度放射性核種分析法の開発
R1年度英知水中に分散するナノ~マイクロコロイドの高効率な液相捕集と透過型電子顕微鏡(TEM)による金属微粒子同定方法の開発

検討されている研究課題

特になし
③ 建屋内外を対象とした線量等測定技術を確立したい

望ましい状態とその理由

作業員被ばくリスクを低減するために、作業エリアの対象核種の性状及び周辺線量を分析・計測可能な技術が望まれる。
燃料デブリ取り出しのためのPCV内アクセスに伴う放射性ダストの建屋内への拡散に関して評価しておくことが望まれる。
U、Pu微粒子からのα線やγ線バックグラウンド、β線等に関して高効率かつ低検出限界で識別測定できる技術が望まれる。
サイト内及び近傍の環境回復及び環境回復の変動を把握する環境モニタリングのために、土壌や植生等の分析が望まれる。

理想に対する現状

1F 廃炉現場において炉内状況や建屋内状況を調査する上では、一般に製品化された放射線計測装置では性能・機能上の限界がある。
燃料デブリ取り出し時の廃棄物については、損料した支柱や配管等への付着物中にUが含まれるか否かを迅速に確認できれば、作業性の向上が期待できる。別途の施設・設備やサンプルの移送を必要とせず、簡易(その場)分析の技術開発として、レーザー勇樹ブレークダウン分光分析法による技術開発を実施している。

解決すべき課題

1F において廃炉作業を実施する放射線環境はこれまでの原子力施設での作業環境に比べはるかに高い放射線環境であり、かつそのため遠隔で取り扱う必要がある。高線量に対する耐放射線性を持ちかつ遠隔で取り扱うため小型化した測定センサー、電子回路及びシステムの開発が求められている。例えば、地下階のドライアップされた場所にて、小型のαカメラを直径10~20cmの穴を通し、α線を検知したい、内部や地下の画像を取ってこられる小型カメラがあるとよい、と言った課題が存在する。
高線量場での耐放射線性の高いセンサー、回路等の開発においては材料の放射線損傷に係る基礎メカニズム的な研究も求められると考えられる。センサー等の開発の具体例としては、高ガンマ線のバックグラウンド下において、臨界防止等の観点からは中性子の計測、燃料デブリ特定の観点からはアルファ線のリアルタイム計測、核種推定の観点からはエネルギー分解能の高いガンマ線計測などを、耐放射線性、ノイズ耐性、サイズ(小型)、計数率・応答性、高線量率対応、エネルギー弁別性、空間分解能(線源位置特定)、操作性、メンテナンス性など種々のニーズを満たしつつ実現する測定装置が求められている。
さ放射線の測定結果を用いて、線源の強さや線源の方向等の情報を基に線量場や汚染状況等の可視化、燃料デブリのプロファイルを明らかにするなどの技術開発も廃炉作業を進める上で有効な支援ツールとなる。
また、環境中動態の正確な将来推定を行うためには、汚染状態を正確に把握するモニタリング技術と放射性物質の移動挙動をシミュレートする解析技術の開発が必要である。モニタリング技術では、遠隔での長期にわたる連続測定技術と、そのビックデータを活用したマッピングや挙動把握技術が期待される。一方、シミュレーション技術では、浅地中に特有の挙動(不飽和層の影響、速度論等)を解析する新たな作成モデルの作成やコードを用いた推定技術の開発が望まれる。
液体や気体に対する測定・分析技術も重要である。液体では特に、低濃度の海水のモニタができると良く、今後、仮にトリチウムを排水した場合、その連続測定ニーズが高まるだろう。気体では特に、天然のバックグラウンド寄与分を除去できるαダストモニタで、α線の呼吸濃度限度である10-7オーダーがなるべく短い間隔で測定できる技術があると良い。

参考文献

(参考)関連する研究課題

実施されている研究課題

H30年度英知レーザー共鳴イオン化を用いた同位体存在度の低いストロンチウム90の迅速分析技術開発 [資料]
R1年度英知レーザー共鳴イオン化を用いた同位体存在度の低いストロンチウム90の迅速分析技術開発 [資料]
H30年度英知実験と数理科学の融合による高度マイクロ核種分析システムの創製
R1年度英知単一微粒子質量分析法に基づくアルファ微粒子オンラインモニタリングに向けた基礎検討 [資料]
R1年度英知低線量・低線量率放射線被ばくによる臓器別酸化ストレス状態の検討 [資料]
R2年度英知マイクロ波重畳LIBSによるデブリ組成計測の高度化と同位体の直接計測への挑戦
R2年度英知β、γ、X線同時解析による迅速・高感度放射性核種分析法の開発
R1年度英知一次元光ファイバ放射線センサを用いた原子炉建屋内放射線源分布計測 [資料]
R3年度英知中赤外レーザー分光によるトリチウム水連続モニタリング手法の開発

検討されている研究課題

特になし

関連する課題

資料

関連サイト