課題番号:デブリ-203
段階:Design
廃炉プロセス燃料デブリ取り出し
検討対象作業環境の向上
課題建屋内エリアの作業員被ばく管理

ニーズ

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① 作業員被ばくを管理・モニタリングしたい。

望ましい状態とその理由

作業員の外部被ばく内部被ばくを低減するため、作業環境における核種情報や線量モニタリングできることが望ましい。
特に、燃料デブリ取り出し時に気中に飛散する放射性微粒子の性状、濃度のタイムリーな把握が望まれる。
また、作業環境のモニタリングに加えて、安全な作業を実施するために、建屋内における作業員の位置情報をタイムリーに把握することが望まれる。

理想に対する現状

α ・ β 核種の内部 とりこみリスク に備えたバイオアッセイや体外計測(肺 モニタリング等)を用いた総合的な内部被ばく線量評価体系の整備が求められる。現行のバイオアッセイでは、分析に時間がかかること、廃炉作業においては多様な核種を対象とした多数の作業者のモニタリングが必要となることから、十分な精度・速度を担保した内部被ばく線量評価のための手法開発が求められる。そのため、廃炉・汚染水対策事業「安全システムの開発(被ばく線量評価のための分析手法の技術開発)」が進められている。

解決すべき課題

外部被ばく・内部被ばくそれぞれにおける管理上の着目核種について評価・選定することが求められる。
上記の観点で、リアルタイムモニタリングが可能な技術が求められる。

(参考)関連する研究課題

実施されている研究課題

R1年度英知低線量・低線量率放射線被ばくによる臓器別酸化ストレス状態の検討 [資料]
R1年度英知一次元光ファイバ放射線センサを用いた原子炉建屋内放射線源分布計測 [資料]
廃炉・汚染水対策事業安全システムの開発(被ばく線量評価のための分析手法の技術開発)
H30年度英知ラドンを代表としたアルファ核種の吸入による内部被ばくの横断的生体影響評価
H30年度英知iPS細胞由来組織細胞における放射線依存的突然変異計測系の確立
R1年度英知幹細胞動態により放射線発がんを特徴付ける新たな評価系の構築
R3年度英知福島第一原子力発電所の廃止措置における放射性エアロゾル制御及び除染に関する研究
R3年度英知アルファ微粒子の実測に向けた単一微粒子質量分析法の高度化

検討されている研究課題

特になし
② 安全かつ効率的な作業計画をたてたい。

望ましい状態とその理由

法令で定められた 被ばく線量限度(50mSv/年及び100mSv/5年)を下回るように、作業工法・作業時間・作業員の人数を検討・設定することが望まれる。作業員被ばくの特定の個人への偏り防止、作業員全体の被ばく低減、長期的視点での人的資源の確保を進める必要がある。
効率的な作業を実施するために、建屋内での作業装備(全面マスク、タイベック、アノラック)の簡素化を図ることによる作業員負担の軽減が望まれる。
安全な作業を実施するために、建屋内における作業員の位置情報をタイムリーに把握することが望まれる。

理想に対する現状

中長期ロードマップ、東京電力の廃炉中長期実行プランに沿い、作業エリア・アクセスルートの作業環境の改善として、原子炉建屋内の干渉物撤去、線量低減が進められている。
試験的取り出しの準備として、現場の線量低減作業が行われており、2 号機原子炉建屋1階西側の通路、北西部のX-6 ペネ周囲の線量を、概ね5mSv/h 以下(平均2~3mSv/h 程度)に低減させている。
内部被ばく防護に関しては、放射性ダストの飛散抑制、汚染拡大防止等の設備上の措置を講じた上で、作業エリアの対象核種と空気中濃度及び表面密度から適切な防護措置を選定し、内部被ばくに繋がる吸入摂取や身体汚染の防止に努めるべきである。内部取り込み事象の発生時は、体外計測法(肺モニタ)やバイオアッセイ法により預託実効線量を適切に評価する必要がある。このため、事前に被ばく評価において重要なα核種を選定し、空気中濃度の管理、防護装備の着用基準、機器校正管理へ反映しておくことが重要である。
また、作業環境や入退域の作業者身体における表面密度の管理は、区域区分を超えた汚染拡大を早期に発見し、遊離性汚染から再浮遊したダストによる内部取り込みを未然に防止するために重要である。これらを踏まえ、2021 年度から内部取り込み防護と取り込み時の線量評価のための廃炉・汚染水・処理水対策事業による研究開発に着手している。
長期にわたる廃止措置の被ばく低減においては、現場作業の実績、教訓等の知見を蓄積し、ノウハウを伝承することが重要である。取り出し規模の更なる拡大に向けて、試験的取り出しにおけるα核種の取扱技術等の情報を共有し、迅速に次の作業計画へフィードバック可能なようにする必要がある。2021 年5 月から、試験的取り出しに向けて、α核種の取扱作業における身体汚染や内部被ばくリスクが懸念されることから、ノウハウを有するJAEA からの指導が開始されている。

解決すべき課題

遠隔技術の活用と除染の組み合わせによる被ばく低減を優先的に検討し、その後「時間、距離、遮へい」による作業時被ばく管理を計画すること
PCV 内やトーラス室内のように極めて放射線量が高いエリアは、遠隔技術により人がアクセスすることなく作業を実施すること
上記のエリアを除く原子炉建屋内については、作業全体に係る積算線量を低く抑えることができるように除染、遮へい、不用物の撤去、遠隔技術、作業時間短縮等の最適な組み合わせを検討すること
遠隔技術を活用する場合であっても、その設備を設置する作業、メンテナンス作業、トラブル時対応作業等が付随して必要であることを考慮して評価・検討を行うこと
除染の作業についても、遠隔技術を用いるか人手で実施するかは、その対象箇所の線量率、汚染形態、作業スペース、利用頻度、遠隔技術の適用性・開発動向、工程、コスト等を評価して判断すること
ニーズが不明確な箇所や全体の線量低減といったベターメント指向の検討は控え、作業ニーズが明確な箇所の検討を優先して行うこと
また、α線放出核種の内部取り組み事象に備えて、事前に被ばく評価において重要なα線放出核種を選定、空気中濃度の管理、防護装備の着用基準、機器校正管理へ反映しておくこと
加えて、区域区分を超えた汚染拡大を早期に発見、遊離性汚染から再浮遊したダストによる内部取り込みを未然に防止するため、作業環境や入退域の作業者身体における表面密度を管理すること

参考文献

(参考)関連する研究課題

実施されている研究課題

R1年度英知低線量・低線量率放射線被ばくによる臓器別酸化ストレス状態の検討 [資料]
R1年度英知一次元光ファイバ放射線センサを用いた原子炉建屋内放射線源分布計測 [資料]
H30年度英知放射性微粒子の基礎物性解明による廃炉作業リスク低減への貢献 [資料]

検討されている研究課題

特になし

関連する課題

資料

関連サイト