課題番号:共-2
 
廃炉プロセス共通項目
検討対象可視化技術(3次元を含む)

ニーズ

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① 高放射線下での三次元的な可視化技術を開発したい

望ましい状態とその理由

放射線等の測定結果を用いて、線源の強さや線源の方向、分布等の情報を基に線量場や汚染状況等を把握するため、ヴァーチャルリアリティ等を駆使した可視化技術の開発が望まれる。可視化技術により、汚染場所の特定による効果的な除染や作業員被ばくの低減につながることが期待される。
核燃料放射性物質核種や性状を遠隔またはその場で計測できることが望まれる。
放射線測定結果だけでなく、得られた膨大なデータを可視化する技術も望まれる。
原子炉格納容器(PCV)/原子炉建屋内を調査する際に動画撮影を実施しているが、その動画データを迅速かつ自動的に三次元デジタル化することで周辺状況を三次元かつ俯瞰的に把握できることが望まれる。
今後、より高線量が想定されるRPV内部調査が行われる。RPVは内部においても放射線量に分布があるものと思われるため、放射線中性子を可視化することで、FPの分布、燃料デブリの分布を把握したい。
燃料デブリ取り出し時の高線量PCV/RPV内)かつ視界不良環境においても内部環境を可視化できる、耐放射性を有する技術が求められる。

理想に対する現状

2021年度から、廃炉・汚染水・処理水対策事業による研究開発として、安全・効率的な作業計画の策定に向けて、環境調査データを用いた放射線源の特定、デジタル技術に寄って可視化する環境・線源分布のデジタル化技術の開発を進めている。2022年度にはプロトタイプを試作しており、2023年度から現場適用に向けた機能向上を目指した開発を進めている。
燃料デブリ・炉内構造物の取り出し規模の更なる拡大に向けて、汚染源の視覚的な把握や空間線量率等の把握、構造物の表面の線源分布の推定等は重要なプロセスとなる。そこで、現場での測定機器を使ったそれらの可視化技術と、それらの測定データを別途ソフトウェア処理により2次加工して3次元的に可視化する技術の二種類の方向性が存在する。
現場での測定機器を使った可視化技術としては、高線量環境でも測定可能な小型軽量ガンマカメラ(小型コンプトンカメラ)の開発により表面線量率が数mSv/hの局所的な汚染(ホットスポット)を迅速に可視化するとともに、3次元的に表示・確認することが可能となっている。魚眼カメラを搭載したガンマ線イメージャでは、360°球面体のスキャンが可能となっている。
ソフトウェア処理により2次加工し3次元的に可視化する技術としては、構造物の状態(位置、形状、物性など)、空間線量率等の情報から構造物の表面の線源分布を推定する線源逆推定システムやVR等のデジタル技術によってサイバー空間上に可視化する研究開発が進められている。また、ロボットに搭載された前後左右のカメラで撮影した画像を用いて疑似俯瞰画像を生成するシステムも報告されている。 今後は、ドローンやロボットに搭載して遠隔で建屋内の詳細な汚染分布の把握や、上記の二種類の方向性を融合した測定機器や可視化装置の開発も進むことが期待される。
原子炉格納容器(PCV)/原子炉建屋内の状況(機器・設備の配置、床・壁面・天井の状態)は事故前後で一変しているが、現在、各エリアにおける状況を全て把握できている訳ではない。また、カメラ画像は360°取得できているわけでもなく、照明も限定的、高線量環境下、遠隔操作によって取得されるため、現状把握やデータ取得のために多くの時間をかけることはできない。

解決すべき課題

可視化技術の前提として、高放射線下での画像データ伝送までを行う処理デバイスが必要である。
CMOS等の電子集積回路の耐放射線性の改善が必要である。
特に、放射線測定等では、自動的に測定し、自動的にデータを可視化できる技術が求められる。
可視化技術の開発は、メインの放射線がガンマ線か、ベータ線かなどを念頭に進める必要がある。
検出しにくいα核種・β核種の位置検出器の開発が必要である。
ロボットに測定器を搭載し測定した放射線イメージと3次元光学画像を統合し、建屋内の高線量率エリアの放射線分布を3次元イメージング化する技術等の開発が必要である。特に、線量が高いエリアでは、線源がどこにあるのか分かることが重要である。3Dマップ化ができることにより、除染等の対策を立てることができる。
現在は2D撮影であるため、遠近感が取り辛いという課題がある。作業している画面上で、3Dで可視化できると良い。
VRと融合した先進的な3次元可視化システムの構築が望まれる。
今後、燃料デブリの取り出し作業等で、原子炉建屋内での作業(人、遠隔装置による作業)が増加するため、安全性向上、作業効率性向上の観点から、建屋内の状況を把握することの重要性が増す。また、廃炉作業が進めば原子炉建屋内の状況は日々変化していくこととなり、これを把握するため、迅速かつ詳細に現場の3Dデータを取得し、次の作業計画に活用できる様にすることが望まれる。そこで、動画(例えば現場に入った作業員や遠隔装置に取り付けた光学カメラ)から迅速かつ自動的に三次元デジタル化できる技術が必要である。
RPV内は高放射線環境であり、中性子を弁別することが難しい。そのような状況において、放射線イメージャーおよび中性子イメージャーにより、簡易的に燃料デブリの位置を特定することができれば、内部調査及び燃料デブリ取り出し時において臨界管理の観点で保守的な対応を緩和できることが期待され、効率的な燃料デブリ取り出しにつなげることができる。放射線イメージャーおよび中性子イメージャーには、高い耐放射線性と、一定以上の精度(特に中性子の弁別性)が求められる。
燃料デブリの取り出しにおいては燃料デブリや炉内構造物を加工することでダストが発生し、気中ではダスト環境、水中では濁水環境になることが想定される。そのような環境においても、燃料デブリ加工箇所や周辺状況を的確に把握したい。気中のダスト環境や水中の濁水環境では、光学カメラによって状況を把握することには限界がある。そこで、耐放射線性を有する超音波計測器を用いることが考えられる。特に濁水環境中で適用可能な技術は、サプチャン内部調査等への応用も期待できる。

参考文献

(参考)関連する研究課題

実施されている研究課題

R1年度英知耐放射線性ダイヤモンド半導体撮像素子の開発 [資料]
R1年度英知燃料デブリ取り出し時における炉内状況把握のための遠隔技術に関する研究人材育成 [資料]
廃炉・汚染水対策事業原子炉建屋内の環境改善のための技術の開発(被ばく低減のための環境・線源分布のデジタル化技術の開発)
R3年度英知連携計測による線源探査ロボットシステムの開発研究

検討されている研究課題

特になし

関連する課題

資料

関連サイト