課題番号:デブリ-214
段階:Design
廃炉プロセス燃料デブリ取り出し
検討対象戦略・リスク
課題デブリ回収戦略の構築
ニーズ
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① 燃料デブリ取り出しに向けた課題を洗い出したい。
望ましい状態とその理由
また、想定されるスループットにおいて検討すべき事項を整理し、取り組むべき課題を明確化することが望ましい。
理想に対する現状
燃料デブリ取り出しに係る工法は、現在もまだ確定しておらず、評価検討中の段階である。
燃料デブリ取り出し工程は設定目標が10年のところ、廃炉・汚染水対策事業でのスループット検討評価では、アクセスルートの構築に約4年、燃料デブリ取り出しに27.3年~37.2年と試算されている。
スループットには、PCVへのアクセス、燃料デブリの切り出しの位置決め・切断、回収容器への収納、搬出といった作業工程に加え、保守性やトラブル発生時のバッファや貯蔵施設等の受け入れ能力など潜在的な工程遅延リスクを考慮する必要がある。
解決すべき課題
燃料デブリ取り出しは常に未知と対面しながら、各種分析や作業経験等から得られる新たな知見を踏まえて、作業を柔軟に見直しながら進めるアプローチをとる必要があり、一意に課題を特定することが困難である。
また、安全レベル、現場適用性、技術成立性、事業継続性、スループットなど性質の異なる評価軸を総合的に判断するための基準を明らかにする必要がある。
参考文献
(参考)関連する研究課題
実施されている研究課題
廃炉・汚染水対策事業燃料デブリ・炉内構造物の取り出し基盤技術の高度化(燃料デブリの拡散防止に係る技術開発、取り出し装置設置のための要素技術開発、燃料デブリ取り出し装置の遠隔保守技術の開発、燃料デブリ取り出し時の監視技術の開発) [資料1] [資料2] [資料3] [資料4]
廃炉・汚染水対策事業燃料デブリ・炉内構造物の取り出し工法・システムの高度化(閉じ込め機能に関する技術開発、燃料デブリ由来のダストの捕集・除去に関する技術開発、燃料デブリ取り出しに伴うα核種モニタリングシステムの検討、工法・システムの安全確保に関する最適化検討) [資料1] [資料2]
廃炉・汚染水対策事業燃料デブリ・炉内構造物の取り出しに向けた技術開発(燃料デブリ取り出し工法の開発、燃料デブリ取り扱い技術の開発、燃料デブリ取り出し作業時の安全確保に関わる技術開発)
検討されている研究課題
特になし
② 燃料デブリの回収に係る総合的な戦略を策定したい
望ましい状態とその理由
理想に対する現状
【1号機】
現在実施されているPCV 内部調査では、ペデスタル外の既設構造物の状態や堆積物の広がり状況等の確認を実施しており、今後、作業員アクセス口からのペデスタル内の調査も予定されている。
2,3 号機と比較してプラント出力が小さいが故にRPV やPCV のサイズが小さく、プラント設備の配置も異なっている。また、今後の調査で明らかになると期待されるが、RPV 内及びペデスタル内外の堆積物分布は2,3 号機と異なると考えられている。
【2号機】
現在、試験的取り出しの準備が進められており、その後、段階的な取り出し規模の拡大を実施していく計画である。
これまでに実施されたPCV 内部(ペデスタル内)の調査及びミュオンを用いた調査・解析等では、RPV 底部に多くの燃料デブリが存在すると考えられており、また炉心部にも燃料が一部存在している可能性が指摘されている。PCV 底部に落下した燃料デブリはペデスタル外へ拡がった可能性は低いとされている。
【3号機】
他の号機に先行して取り出し規模の更なる拡大に向けた工法の検討が進められており、2022 年度からはより深く検討する工法の課題・リスクに対して、現場適用性、技術成立性の検討が進められている。
これまでにPCV 内部(ペデスタル内)の調査が実施され、CRD ハウジングサポートの一部脱落、変形している状況や、ペデスタル内下部には、炉内構造物と推定されるものを含む複数の構造物が落下している状況が確認されており、また、燃料デブリと推定される堆積物も確認されている。
さらに、ミュオン調査・解析等から2 号機よりも多くの燃料デブリがペデスタル内に落下し、作業員アクセス口からペデスタル外へ拡がった可能性が推定されている。
【号機共通】
現在実施している1 号機PCV 内部調査においてペデスタルの一部に損傷が確認されているが、過去の研究開発において、損傷範囲を仮定した耐震評価では支持機能を大きく損なわないことを確認している。
解決すべき課題
【1号機】
2 号機の試験的取り出しを通じて得られる知見の活用として、例えば、既設構造物の状況や堆積物の分布状況、ガンマ線分布や中性子カウント数分布、装置類の出し入れに伴う閉じ込めへの影響程度、取り出し作業で採取する燃料デブリの情報などを装置設計や取り出し手順、安全評価等に反映する必要がある。
また、先行する3 号機における工法検討結果等も踏まえ、取り出し方法を検討する必要がある。
これまでのミュオンを用いた調査・解析等により、炉心部にはほぼ燃料デブリはなしと評価されているが、直接的な調査ではないため、今後の検討において直接的な映像調査が必要になる。
【2号機】
横アクセス工法にて実施するこれらの取り出しでは、全ての燃料デブリを取り出す計画ではないため、取り出し規模の更なる拡大に向けた工法の検討が必要である。
試験的取り出しを通じて得られる知見等を踏まえ、燃料デブリ取り出し設備・安全システム(閉じ込め、燃料デブリ冷却、臨界管理等)・燃料デブリ一時保管設備・取り出し設備のメンテナンス設備の設計・製作・設置を進める必要がある。
炉心部に燃料が一部残っている可能性を加味した工法検討が必要である。
ペデスタル外調査は未実施であるため、今後の検討において直接的な映像調査が必要になる。
【3号機】
選択する工法の確実性を高めるためにも、ペデスタル外の堆積物分布状況を把握するための調査の計画を検討する他、ペデスタル内の追加調査やRPV 内の調査を検討し、これらの調査結果を工法の検討や設計に反映していく必要がある。
工法の検討に当たっては、原子炉建屋の損傷状況を考慮した閉じ込め設備を検討する必要がある。
【号機共通】
内部調査等により知見を拡充させていくとともに、高温の堆積物(燃料デブリ)がペデスタル外へ流出したことから推察される事故時の事象に対する考察を行っていく必要がある。これらの知見や考察を踏まえ、ペデスタル内外の堆積物の取り出し方法、S/C への堆積物の流入可能性等を検討するとともに、内部調査で得られた知見を他号機も含めて燃料デブリ取り出し工法へ反映していく必要がある。
各号機ともこれまで得られているPCV 内部の情報は限定的であり、直接的な映像情報が得られていないエリアも多いため、各号機のPCV 内部調査やRPV 内部調査等の更なる調査の検討を進め、RPV 底部の損傷状況、ペデスタル外の堆積物の有無や分布状況など、更に多くの情報を早期に集めることが必要である。
遠隔装置の保全や故障時の復旧も考慮する必要がある。このような取り出しの準備から取り出しに至る全体工事シーケンス及びスループットを考慮した工法検討が必要であり、現場状況が全て特定できなくても取り出しが成立する工法、地震等の外部事象に影響されにくい工法(ロバストな工法)の選択が必要である。
燃料デブリを取り出した後、建屋解体に移行するクライテリアの検討が必要となる。すなわち、燃料デブリをどの程度まで取り出せば燃料デブリ取り出しが完了したと言えるのか、それをどの様に確認するのか、が重要となる。
参考文献
(参考)関連する研究課題
実施されている研究課題
特になし
検討されている研究課題
特になし