課題番号:デブリ-302
段階:Action
廃炉プロセス燃料デブリ取り出し
検討対象取り出し
課題RPV内燃料デブリ取り出し

ニーズ

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① 炉心及びRPV底部に存在する燃料デブリを取り出したい

望ましい状態とその理由

原子力損害賠償・廃炉等支援機構の戦略プランの「福島第一原子力発電所廃炉の基本方針」として事故により発生した通常の原子力発電所にはない放射性物質に起因するリスクを、継続的かつ、速やかに下げることが記載されている。
福島第一原子力発電所リスクを低減させるためにはリスク源として特定されているRPV内に存在する燃料デブリを取り出すことが望ましい。
また、燃料デブリ取り出し方針として気中工法におけるPCV底部への横アクセスを先行させる観点から、RPV内の燃料デブリ取り出し方法を検討することが望ましい。

理想に対する現状

現状の号機ごとのリスク評価を考えると、1号機は上部の原子炉建屋がなく、3号機は上部の原子炉建屋の代わりに燃料取り出し用カバーが存在するだけであり、一方、2号機は原子炉建屋が健全な上、燃料デブリの多くがRPV内に留まっていると推定されることから、RPVの損傷の程度も小さいと考えられ、管理重要度の点で差がある。潜在的影響度に影響する形状に関しては、粉体に近い状態から固体まで様々な状態を取る可能性があるが、現時点でその形状は特定されていない。特に2号機については、燃料デブリの多くがRPV内に留まっていると推定され、1,3号機と比較して溶融炉心-コンクリート反応生成物の割合が少なく安定的な形態と考えられることから、潜在的影響度は相対的に低いと考えられている。
研究開発については、気中工法に軸足を置き、PCV底部への横アクセスを先行させるという燃料デブリ取り出し方針の決定を踏まえ、α核種の存在を前提とした閉じ込め機能の構築、PCV内水位管理技術をはじめ、研究開発の加速化・重点化を図っている。なお、東京電力は取り出し規模の更なる拡大のための工法選定に向けたコンセプト検討を実施中であり、2022年度以降は各工法の成立性の検討を進めていく予定である。
格納容器内の状況把握については、これまで実施されたPCV内部調査により種々の情報が得られてきているが、RPV内部調査は未実施など、格納容器内の状況把握は未だ限定的であるため、PCV内部における堆積物や燃料デブリ分布等のより詳細な情報を得るためのPCV内部調査や、RPV内の情報を取得するためのRPV内部調査を実施するための研究開発を進めているところである。
なお、工法の一例としては、気中工法((RPV 注水)、オプション(RPV 充填固化))、冠水工法(船殻工法)が挙げられ、評価検討が行われている。
気中工法(RPV 注水)案は、燃料デブリが気中に露出した状態もしくは低水位で浸漬した状態で、RPV 内部へ水をかけ流しながら取り出す工法である
気中工法オプション(RPV 充填固化)案は、ペデスタル底部、RPV、原子炉ウェル等を充填材で固めて物理的に安定化させた上で、充填材とともに燃料デブリを掘削して取り出す工法である
冠水工法(船殻工法)案は、閉じ込め障壁として船殻構造体と呼ばれる新規構造物で原子炉建屋全体を囲い、原子炉建屋を冠水させ燃料デブリを取り出す工法である

解決すべき課題

規模を拡大した取り出しに向け、PCV・RPV内の更なる状況把握、燃料デブリ取り出し作業(干渉物撤去を含む)を効率化する技術、燃料デブリ取り出し作業時の放射性飛散微粒子の拡散を低減する技術、燃料デブリと廃棄物との仕分けの検討、燃料デブリの性状把握のための分析・推定技術の開発などを進めるとともに、上からのアクセスによる燃料デブリ取り出しでの対応も想定した技術開発等を進めていくことが重要である。
エンジニアリング上の検討を通じて必要な研究開発課題を抽出し、その課題を適時的確に実施していくという、プロジェクトベースでの研究開発のマネジメントも強化していく必要がある。

参考文献

(参考)関連する研究課題

実施されている研究課題

廃炉・汚染水対策事業燃料デブリ・炉内構造物の取り出しに向けた技術の開発
廃炉・汚染水対策事業燃料デブリ・炉内構造物の取り出し工法・システムの高度化 [資料1] [資料2]
廃炉・汚染水対策事業燃料デブリ・炉内構造物の取り出し基盤技術の高度化 [資料1] [資料2] [資料3] [資料4]
R2年度英知燃料デブリにおける特性の経年変化と環境劣化割れの調査

検討されている研究課題

特になし

関連する課題

資料

関連サイト