課題番号:デブリ-217
段階:Design
廃炉プロセス燃料デブリ取り出し
検討対象取り出し工法・システム
課題燃料デブリへのアクセスルートの構築
ニーズ
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① 干渉物を撤去したい。
望ましい状態とその理由
燃料デブリ取り出しを行うにあたり干渉物(建屋内構造物、炉内構造物)の撤去を安全に実施するために、PCV及びRPVからの放射性物質の放出抑制、既存の構造物の健全性維持を考慮した干渉物撤去方法の確立が望まれる。
長期にわたる廃炉工程では、様々な想定外の事象、状況が起こりうるため、それらに対応できる体制を構築しておくことが望まれる。
理想に対する現状
上アクセス時はPCV上部構造物及びRPV内部構造物が、横アクセス時はペデスタル外機器が干渉物となる。また、いずれのアクセスでもペデスタル内機器及び原子炉建屋内構造物が支障物となる。
高所の設備機器、重量物など比較的撤去が難しい干渉物撤去について、2020年度から高線量下における環境改善・干渉物撤去のための遠隔技術の開発に着手し、2022年度には撤去対象物を選定した上で、要求機能を踏まえた遠隔操作装置の仕様を提案した。今後は、具体化に向けた開発を東京電力のエンジニアリングで進める。
2号機X-6ペネ内堆積物除去作業では、1号機PCV内部調査アクセスルート構築におけるアブレシブウォータジェット(AWJ)によるダスト拡散事象を踏まえ、ダスト拡散を抑制するために、低圧水洗浄装置による堆積物除去、スプレイカーテンによる拡散抑制等の対策を準備した。X-6ペネ内部に存在する堆積物・ケーブル類を除去するために、低・高水圧による堆積物の押し込み、アブレイシブウォータージェット(AWJ)によるケーブルの除去、押し込み装置によるケーブルの押し込みを順次進めていく計画としている。
解決すべき課題
干渉物を遠隔で解体、撤去、回収及び搬出する技術の開発が必要となる。特に、狭隘部における加工実現性及び遠隔操作による作業性が重要であり、多自由度ロボット動作時の周辺環境への接触防止機能などが求められる。
既存の構造物の健全性を維持するために、切削による装置及び周囲構造物の損傷を防止することが必要である。
加工作業よりも加工ツールの位置決めや対象物の把持、ツールの交換作業などに時間を要するため、作業員の操作を支援するツール開発が必要となる。
放射性物質の放出を抑制するにあたり作業セル外に設備を搬出する場合は除染が必要となるため、異物混入防止措置などによって除染性を向上させる必要がある。
遠隔での作業及び監視を行うために、作業装置、周辺設備及び監視装置を遠隔で構築する手法(遠隔による狭隘部へのカメラ設置など)を確立する必要がある。
アクセスルート構築に伴う干渉物撤去作業ではダスト拡散抑制対策が重要であり、現状では作業手順として、ダスト濃度をモニタリングしながら徐々に作業を拡大していく等、安全対策が十分考慮されていることを確認している。一方、作業工程が大幅に延伸しないようにすることも求められており、ダスト濃度の作業管理値を適切に設定する必要がある。
現場情報およびその不確かさ、それを解決しようとする取組などに関する知見を集約し、想定外の状況や不測の事態が発生した場合に対応するための基本データベースを構築する必要がある。また、そのような集合知を開示することで、関連する検討課題において廃炉進捗を俯瞰的に捉え、廃炉工程全体の適正化や、研究を効率的に推進することが求められる。
今後の1F廃炉作業においては、多くの配管等を切断・撤去する必要があるが、当該配管等の内部がどの様な状況となっているのかが分からないことが多い。例えば、内容物の有無、液体の有無、放射性物質濃度、水素濃度、等が分からない場合、適切な切断方法や対策(内容物の飛散防止対策等)を選定することが困難となる。現場での適用を勘案した場合、簡便な方法(短時間での把握、ハンディタイプ、等)であることが望まれる。特に、配管内におけるα核種の有無を把握できること。α核種がある場合、どの程度存在するのかを把握できること等が望まれる。
参考文献
(参考)関連する研究課題
実施されている研究課題
廃炉・汚染水対策事業燃料デブリ・炉内構造物の取り出しに向けた技術の開発(燃料デブリ取り出し工法の開発)
廃炉・汚染水対策事業燃料デブリ・炉内構造物の取り出し規模の更なる拡大に向けた技術の開発(環境改善・干渉物撤去のための遠隔技術の開発)
廃炉・汚染水対策事業燃料デブリの取り出し工法の開発
検討されている研究課題
特になし
② 安全性を考慮したアクセスルート構築方法を具体化したい。
望ましい状態とその理由
理想に対する現状
1号機では、グレーチング上側からペデスタル外側のドライウェル底部へのアクセスが可能であるが、X-6ペネからペデスタル内につながるCRDレール周辺の状態は確認できていない。2022年2月から2023年3月に実施されたPCV内部調査では、X-2ペネから水中ROVをPCV内へ投入し、ペデスタル内外へのアクセスに成功した。
2号機では、CRDレール上やペデスタル開口部付近に大きな障害物はなく、開口部からペデスタル内側底部へのアクセスが可能であることが確認されている。試験的取り出しにおけるアクセスルート構築作業では、2023年4月に隔離部屋の設置が完了した。今後はX-6ペネ接続構造・エンクロージャの設置作業を行うことでアクセスルートを構築する計画である。
3号機では、ペデスタル開口部からペデスタル内部底部へのアクセスが可能であることが確認されている。
現状、燃料デブリ・炉内構造物の取り出し規模の更なる拡大に向けては、PCV側面開口部から燃料デブリに到達するまでのアクセスルートとして横アクセス工法の検討が進められており、吊橋方式や軽量化セルと固定レールによる方式、アクセストンネル方式が検討されている。
上アクセスを含む上取り出し工法の検討も進められており、スループット向上を目的に取り出し準備の工程が短縮できる干渉物撤去技術や搬送方法の検討が行われている。2020年度以降は、干渉物を一体または大型に切断して取り出し、閉じ込め、遮蔽を確保して搬送する方法等の実現性が検討されている。
解決すべき課題
高線量環境下での閉じ込め障壁拡張は極めて難しい作業であり、また重装備の作業員を短時間で交代させながら作業を実施する必要がある。そのような状況と、閉じ込め障壁が不完全かつ不確かさを有することや地震等の発生が予想されることを踏まえて、作業の安全性と確実性を高める必要がある。
アクセスルート構築においては、加工等に伴い発生する二次廃棄物量(追加発生量)を極力低減できることが求められる。
横取り出し工法では、新設重量構造物とPCV側面開口部の接続部構造の閉じ込め、遮蔽や地震変位への対応が課題となっている。
上取り出し工法のアクセスルート構築においては、シールドプラグ下部の原子炉ウェル内の状況及び線量調査、掘削孔の線量調査などの追加調査結果を踏まえて検討する必要がある。
参考文献
(参考)関連する研究課題
実施されている研究課題
廃炉・汚染水対策事業燃料デブリ・炉内構造物の取り出しに向けた技術の開発(燃料デブリ取り出し工法の開発)
廃炉・汚染水対策事業燃料デブリの段階的に規模を拡大した取り出し技術の開発
廃炉・汚染水対策事業燃料デブリの取り出し工法の開発
検討されている研究課題
特になし