課題番号:処-101
段階:Preparation
廃炉プロセス処理・処分・環境回復(燃料に由来するα核種が含まれる廃棄物含む)
検討対象キャラクタリゼーション②
課題性状把握

ニーズ

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① 水処理二次廃棄物の性状を把握したい。

望ましい状態とその理由

汚染水水処理二次廃棄物は、これまでに処理実績の少ないものであり、処理・処分を見据えて、汚染核種の種類、化学形、量が把握されることが望ましい。
この際、湿分を含み屋外に通気状態で保管されている水処理二次廃棄物は、微生物等が繁殖し、分析や以降の固化処理が困難となる可能性にも留意が必要である。そのため、高線量下での微生物等による影響評価と必要に応じて対策技術も望まれる。
水分が多く含まれるスラリーは脱水安定化が実施されることが考えられる。保管・管理や処理・処分まで見据え、脱水前後での性状や量の変化を詳細に把握されることが望ましい。

理想に対する現状

試料採取が容易なものを分析する段階から、廃棄物対策において重要な試料を採取・分析する段階となっている。
JAEA茨城地区の分析施設等の既存の分析施設の他、放射性物質分析・研究施設第1棟(大熊分析・研究センター)が2022年6月に竣工し、同年10月より放射性物質を用いた分析作業が開始した。これまで進められてきた簡易・迅速化された分析技術の標準的な分析法としての実証が2023年度中に実施されている。また、東京電力による新たな分析施設は2020年代後半の運用開始が予定されている。
高線量廃棄物の分析データの取得に向け、セシウム吸着塔の吸着材を採取する技術の現場実証が取り組まれている。廃炉・汚染水・処理水対策事業では、セシウム吸着塔からの吸着材採取技術の開発、固体廃棄物の分別に係る汚染評価の技術の開発が行われている。

解決すべき課題

水処理二次廃棄物は吸着塔等に収納されており、かつ高線量であるため内容物のサンプリングが容易でない中、性状を把握・評価する必要がある。
廃棄物の特性は多岐にわたるため、廃棄物の仕様ごとに処理・処分方法を検討する必要がある。また、同一廃棄物間でも特性にバラツキがあると考えられるため、サンプリング・分析結果の代表性に関する考え方について注意深く考察する必要がある。
対象とする廃棄物とその優先度、分析の目的と定量目標等を定める中長期的な分析戦略を策定し、それに基づいた分析・評価が重要となる。
対象とする廃棄物によって求められる分析の対象核種や分析項目、精度、分析試料数等が異なるため、施設の特徴や分析の目的に応じた適切な役割分担に基づく体制の構築が必要である。

参考文献

(参考)関連する研究課題

実施されている研究課題

廃炉・汚染水対策事業固体廃棄物の処理・処分に関する研究開発(保管管理、処理・処分概念の構築と安全評価手法の開発、性状把握の効率化、研究開発成果の統合) [資料1] [資料2]
廃炉・汚染水対策事業固体廃棄物の処理・処分に関する研究開発(先行的処理手法及び分析手法に関する研究開発)(実績のある処理技術の固体廃棄物処理への適用性に係る見通しの評価、固体廃棄物の保管・管理関連技術の開発) [資料1] [資料2] [資料3]
廃炉・汚染水対策事業固体廃棄物の処理・処分に関する研究開発 [資料]
廃炉・汚染水・処理水対策事業固体廃棄物の処理・処分に関する研究開発(セシウム吸着塔からの吸着材採取技術および固体廃棄物の分別に係る汚染評価技術の開発) [資料]
R1年度英知化学計測技術とインフォマティックスを融合したデブリ性状把握手法の開発とタイアップ型人材育成 [資料]

検討されている研究課題

特になし
② PCV/RPV/建屋の解体に伴う発生廃棄物の廃棄物管理を容易にしたい。

望ましい状態とその理由

廃棄物の処理・処分を見据えて、PCV/RPV/建屋内の機器等の性状が把握されるとともに、解体作業の実施方法が検討されることが望まれる。
このためには、処理・処分側から、PCV/RPV/建屋の解体側に要件や要求事項、留意事項が示されることが望まれる。

理想に対する現状

原子炉建屋のトーラス室底部には、燃料デブリ由来のα核種が微粒子状(αスラッジ)とイオン状で存在する滞留水が存在しており、比較的高い全α濃度が検出されている。
3号機原子炉建屋内でのα汚染の状況やタンク底部の残水処理に伴うαスラッジの存在が明らかになりつつある。

解決すべき課題

PCV/RPV/建屋の解体に伴って発生する廃棄物は、非常に物量が多いこと、高汚染~低汚染まで幅が広いこと、α核種が含まれている可能性があること、等である。それらを勘案した上で、より迅速に、容易に、確実に、低コストで性状を把握できる技術が必要である。
上記の技術の中でも、特に、解体前に現場で性状把握が可能な技術が重要となる。現場での性状把握が可能となれば、解体工法や廃棄物の分類にフィードバックすることが可能となる。 フィードバックした結果を踏まえ、解体前にあらかじめ発生が見込まれる廃棄物の物量や性状を想定することが可能となる。

参考文献

(参考)関連する研究課題

実施されている研究課題

廃炉・汚染水対策事業固体廃棄物の処理・処分に関する研究開発 [資料]
R1年度英知ウラニル錯体化学に基づくテーラーメイド型新規海水ウラン吸着材開発 [資料]

検討されている研究課題

特になし
③ 固体廃棄物のインベントリや性状の評価を行いたい。

望ましい状態とその理由

廃棄物の処理・処分の検討に資するため、廃棄物が含有する放射能量(インベントリ)や廃棄物の性状(事前に除去すべき金属成分の有無等)の評価が必要である。
廃棄物のサンプルの採取が限定されているため、解析的手法等を用いて、インベントリや性状の推定・評価が必要である。
インベントリの推定に当たっては、放射性元素の移行や挙動の全体像を踏まえることが望まれる。
インベントリや性状の推定・評価のための解析モデルについて、より詳細に、あるいは迅速に結果を得るための開発・高度化が望まれる。
線量廃棄物について、分析作業自体の困難性は高くないものの、物量が膨大であるため、全数測定の実施には膨大な時間を要する。物量低減とともに効率的な分析・分析計画法が必要である。
線量廃棄物について、試料採取や分析自体が困難であり、取得される分析データの数が限定されるため、移行モデルに基づく統計論的インベントリ推定が重要である。
構内での再利用を進めることを念頭に、また、処理・処分までを見据え、廃棄物ごとの分析による放射能濃度の把握を行っていくことが望まれる。

理想に対する現状

対象とする固体廃棄物とその優先度、分析の定量目標等を定める中長期的な分析戦略を策定するための方法論確立に向けた検討が行われている。
これまでに確立したデータを簡易・迅速に取得するための分析手法の成果を放射性物質分析・研究施設第1棟(2022年6月竣工)にて、標準的な分析法として利用するための取組が着手されている。
低線量廃棄物、高線量廃棄物、それぞれの特徴を踏まえ、DQOプロセス(米国環境保護庁により開発された、意思決定のために分析試料のサンプリングを計画する方法)と統計論的方法を組み合わせた効率的な分析計画法の確立に向けた取り組みが行われている。
これまでの廃棄物の保管・管理では、大量に発生するガレキ等がフォールアウト起因汚染であったため、表面線量率を指標とした区分による管理がなされてきた。今後は、より適切な保管・管理を行っていく上で、構内での再利用を進めることを念頭に、また、処理・処分までを見据え、廃棄物ごとの分析による放射能濃度の把握を行っていくこととされている。

解決すべき課題

対象となる廃棄物は多種多様であり、同種の廃棄物であったとしても(例えば一口に「瓦礫」と言ったとしても)、個々のインベントリは異なる。また、一つの廃棄物においても、場所(表面⇔内部)や形状(細孔部⇔平滑部)によって、インベントリにばらつきがある。その様な中、全ての廃棄物に対してインベントリの測定を行うことは現実的ではなく、サンプリング測定を行い、そこから全体のインベントリ評価を行う必要がある。ここでは、より迅速に、容易に、確実に、低コストで、精度高くインベントリ評価が可能な分析技術や推定技術が求められる。
処理・処分の観点から、事前に除去すべき金属等(処理・処分にとって望ましくない成分)が含まれているか確認する必要がある。ここでも、より迅速に、容易に、確実に、低コストで、精度高く廃棄物の性状の評価が可能な分析技術や推定技術が求められる。

参考文献

(参考)関連する研究課題

実施されている研究課題

廃炉・汚染水対策事業固体廃棄物の処理・処分に関する研究開発(先行的処理手法及び分析手法に関する研究開発)(固体廃棄物の保管・管理関連技術の開発) [資料1] [資料2] [資料3]
廃炉・汚染水対策事業固体廃棄物の処理・処分に関する研究開発(性状把握の効率化) [資料1] [資料2]
廃炉・汚染水対策事業固体廃棄物の処理・処分に関する研究開発(処理・処分概念の構築と安全評価手法の開発) [資料1] [資料2]
廃炉・汚染水対策事業固体廃棄物の処理・処分に関する研究開発 [資料]

検討されている研究課題

特になし

関連する課題

資料

関連サイト